ギリシャ経済・財政危機 公務員年金の不正受給問題が浮上

ギリシャで、遺族が死亡届を出さずに年金を不正に受け取っていたとみ
られるケースが4500件以上に上っていることが判明したらしい。
ギリシャ政府は現在、100歳以上の年金受給者約9000人について
確認を急いでいるという。


年金の不正支給が続いているのは元公務員。
毎年日本円にして18億6000万円以上が支払われていたという。
年金の不正受給問題は去年日本でも各地で発覚し、社会問題となった
が、これはもう世界どこでも起こっていると考えていいだろう。


ギリシャという国がユーロ加盟を許されたこと自体、実に不思議だ。
パパンドレウ首相の責任は非常に大きい。
なぜなら世襲3代目の政治家で、ユーロ加盟やアテネ五輪時には与党
外務大臣を務めていた。
その前はちゃんと外務副大臣として任されていたのだ。
その後は野党の党首を務めたが、やっと09年10月に首相に就任した
といえ、それまでのどんぶり勘定的な会計(つまり粉飾決算)を就任まで
指摘できなかったことは、紛れもなく責任重大だといえる。


ギリシャの面積は日本の3分の1。
GDPは約28兆円で、神奈川県と同レベル。
観光産業で持っている国にもかかわらず、3人に1人が公務員という非
常識極まりない国である。
公的年金制度はOECD30ヶ国の中で、断トツの優雅ぶり。
定年退職後の年金は、それまでの給与の96%を受け取れる。
さらに年金にもボーナスがついてくるという。


仕事における危険手当も充実している。
軍人や警官だけでなく、民間の仕事においても業種によって危険手当が
ついてくるというのだ。
日本でも08年のイラク派遣時は、自衛隊に対し危険手当があった。
一日3万円、食費も3万円、その他の手当を含めると、自衛隊員一人当
たり、一日7万円の手当があったらしい。


しかしギリシャのように民間でも、何でもかんでも危険手当が支給され
ることまでは認められていないし、考えられないことである。
ギリシャは06年、この危険手当支給のため大規模なデモがあったとい
うが、同国ではこういった危険手当が全部で500種類以上あるという。
呆れてモノがいえない。


国家として問題なく成り立っているのなら、誰も文句は言わない。
しかし現実は、その国家を成り立たせるための税収が極めていい加減。
売店やタクシー運転手はレシートを発行しない。
脱税が一般的だから、納税は例外だという考えが根付いている。
だから消費税といった付加価値税はあるが、実態は存在していないに
等しく、名目だけの制度であると考えていい。


ギリシャに対する最大の銀行債権国はフランス。
一方でギリシャ国債保有はドイツが最も多いらしい。
こういった国が徐々に衰退していけば、EUやECBはこれまで以上もの
ジャンク債を買うハメになるだろう。
ではなぜドイツが衰退するというのか?
ドイツは金融危機前、欧州諸国で最も高くレバレッジを賭けてきた国だ
からだ。
ちなみに2位がベルギー、3位がスイスである。
来年後半には今のPIIGS同様、ドイツもフランスもジワジワと悪腫瘍が
出てくると思われる。



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