韓国 「授業料値上げ」「就職難」「格差拡大」 からデモが発生

韓国の首都ソウルで数日間に渡り、デモが発生しているという。
参加しているのは若者が中心。


今回デモを起こした理由として、07年の大統領選で授業料半額政策を
打ち出したはずの李明博大統領が、半額どころか、どんどん値上げされ
ているという現実から、「公約を守っていない」 と訴え、退陣要求も出て
いるという。


報道内容からみてみると、今年の韓国における大学授業料の平均額は
国公立大で430万ウォン(約32万円)、私立大で約770万ウォン。
OECD諸国では米国に次いで高い水準だという。
過去5年間の上昇率も約30%で、これは物価全体の上昇率の約2倍
に達しているとも伝えた。


韓国朝鮮日報によると、学資ローンなどで返済不能に陥った多重債務
者の大学生が昨年は2万5千人と、この4年間で38倍になったという。
去年の大学卒業者が53万人というから、これは大変な数といえる。
所得格差の拡大もますます増加しているという。


韓国ではデモが頻繁に起こっているというのは有名。
世界中で韓国ときて、すぐ思い浮かぶのが 「デモ大国」 と答える国も
多い。
しかも今回のデモは12日間連続。
それでも今のところ日本ではTV報道されていない。


また大統領の退陣要求についても、参加している若者の気持ちは察す
るが、国の法律で5年間は任期を全うできるのだから、ムリな要求だ。
日本の総理大臣のように、途中で退陣することはできないのである。
先日のブログで書いた通りだ。
韓国の次期大統領選挙は2012年12月に行われる。
だからそれまでは今の経済大統領で我慢するしかない。


国内経済の再生を謳って就任した李大統領であるが、就任から3カ月後
に起こった米国産輸入牛肉問題で、支持率が一気に10%台に下落。
これは国内農家からの反発もあったのだが、もう一つの理由もあったと
思われる。
韓国政府は生後30カ月未満の牛肉だけの輸入を認めたのだが、
日本ではもっと若い牛で、生後20カ月未満の輸入が認められた
ことである。

こういった日本との差別について、国民感情が爆発したと思われる。


韓国は08年9月に純債務国に転落したが、09年9月には1年ぶりに
債権国に復帰した。
これは自分達の努力だけでなく、日本や米国、中国からの経済援助が
功を奏したからだといえる。
しかし今年は再び、経済的な試練が訪れるだろう。
欧米や中国の経済が徐々に悪化することや、円高ウォン安が進むことか
ら、貿易や返済額が膨らんでくるからだ。


97年のアジア通貨危機は、当時の急激な円高が原因のひとつだった。
今回の韓国銀行の利上げについても、インフレ抑制という理由もあるが、
急激な円高を少しでも阻止したいという思惑もあるだろう。



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