米国債 4月の各国保有残高 日本、カナダ、台湾などが減少

財務省が15日に発表した対米証券投資統計によれば、米国債
保有1位の中国は1兆1525億ドルで、前月比76億ドル増加させた。
ここにきて中国は、約半年ぶりに買い増したわけである。


そして保有額2位の日本は、久々に減少させた。
それでも前月比、わずか10億ドルの売却だ。
日本は民主党政権後の2009年10月に、50億ドルほど売却したが、
その後は一貫して増加させていった。
その間、中国が徐々に売却させていったのだが、日本や英国が買い
増ししていったので、両国が積極的に支えてきたといえるだろう。


今回は中国をはじめ、米国債を増やした国は上位からいうと、
英国、ブラジル、スイス、ドイツ、タイ、シンガポール、インド。


逆に日本をはじめ、米国債を減らした国を上位からいうと、
サウジアラビア、カリブ諸国4ヶ国、台湾、ロシア、ルクセンブルク
アイルランド、ベルギー。


米国債の発表はいつものことだが、2か月間遅れて公表される。
総合的には4月時点も、米国債の信用はまだ崩れていないといえる。
5月もこれまでと同じく予想通りで推移しているだろうが、今月6月はと
いえば、かなり混乱しているに違いない。


まず英国が保有している米国債を売り払っている最中だろう。
これまで何度かブログで書いてきた通りである。
このことが一時的に大きく円高に振れ、一時79円台前半まで進んだ。
しかしすぐにドルは値を戻し、現在のように80円台をかろうじて維持し
ている。
これはユーロが再び揺れているからだ。


ここ数日間、大きくユーロ安に傾いている。
これはギリシャ危機の再来と、ポルトガルが15日に国債償還期限を迎
えたためである。

だからお互い反対相場に動くドルが、やや値を戻しているだけ。
だが一時的な現象であることには変わりない。


米国の量的緩和策(QE2)は、予定では今月で終了する。
例え予定通り終了したところで、金融機関の危機は一層速まるばかり。
これによって実体経済の指標が曝け出すことになる。
地方銀行の破綻が再び加速し始めるだろう。
また連邦債務の上限問題においても、米国時間8月2日月曜日までに
承認できなければ、早い話でデフォルト。
つまり米国はすでに八方塞がりに陥っているわけだから、いずれにして
も問題解決には至らないということである。


果たして日本は、歴史的な米国債の売却に走るのだろうか?
同盟国だから、政治的に考えても難しいかもしれない。
しかしそれを言うなら英国だって立派な同盟国である。
その英国が毎年6月に米国債を叩き売っているではないか。
この差は一体何なんだろう?


とにかく百歩譲って、日本時間の7月29日金曜日までに債務の上限が
なければ、ここは勇気をもって行動するべきだ。
格付け会社は実際に破綻しないと格下げしないことは、過去に破綻した
エンロンやタイコをみても分かる通り。
破綻する直前まで、両社はトリプルAだったのだ。
ある意味で株取引きと同じだから、直前ギリギリまで悪い噂が出てこな
いと格下げしないのである。


もし日本が何も手を出さなければ、結局薄利多売にもならない。
つまり1円も帰って(返って)こないということである。
しかも世界的な金融危機はどこの国が発祥だったのかを考えれば、何も
躊躇することないだろう。
最後は日銀や政府に期待したい。



 ★シティアライアンス 代表兼 「ヒルザー・ドットコム」 運営者