QE3の可能性 9月15日は3年ぶりの大型金融機関破綻か?

今月は米国のデフォルト宣言が回避されたこともあり、市場は束の間
の安心ムードに包まれた。
しかしこのことは、あくまで国家の破綻が建前上避けられたということ
であり、必ずしも実態経済が好転することを意味しない。
むしろ緊縮財政の決定で、皮肉にも益々悪化していくということだ。


デフォルト宣言回避と同時に、量的緩和第3弾(QE3)の発動について
議論が活発化してきた。
金融機関の借金が、欧州や自国経済の悪化によって、どんどん増加し
ていく中、返済には量的緩和というマネーの印刷しかないからである。
これが最も短時間で解決することができる唯一の方法だ。


ではなぜこの時期にQE3の話題が再び出てきたのか?
最大の理由は米国の年度末決算 「魔の9月」 が迫ってきているから。
しかし9月とはいっても、日数は30日間ある。
この間いつ爆発する日が来るかわからない。
とにかく結論からいえば9月15日だといえるだろう。


2008年に当時のリーマン・ブラザーズが突然破綻したのは、何を
隠そう、9月15日。
翌年の2009年は米国による財政出動などによる効果で、なんとか
難を逃れた。
しかし記憶に新しい2010年はどうであったか?
全く同じ日の9月15日には、金融機関の破綻こそ免れたが、日銀が
約2兆円規模の円安介入を実施した。
この日の円相場は、対ドルで84円台から一気に82円台に進んだ。
つまり第2のリーマンは、もう間もなくやってくるということだ。


ではどこの金融機関が潰れるというのだろう?
最有力候補はバンカメ(BOA)。
それからシティ・グループも怪しい。
シティは2009年3月以来の国有化もあり得る。
GSEといった住宅公社2社も清算されるかもしれない。
もちろん確実なことは言えないので、その他の金融機関も十分破綻の
可能性はある。


とくに前者は中国建設銀行の株式10%の売却に向け、目下のところ
話し合いが進められている。
また個別にFRBや大統領との会合も行われていたし、最近では韓国
が5000万ドルの融資を申し出ていた。
その後バフェット氏が50億ドルの援助を決めたばかりである。
ここへきてリストラも激しさを増してきており、今年に入り2500人もの
人員削減を実施。
そしてつい先日も追加で3500人の首を切ることを表明した。
しかも徐々にではなく、第3四半期中に行われる予定だというのだ。


バンカメは金融危機後、リーマンに次いで住宅ローン証券に投資して
いたといわれるメリルリンチを吸収合併している。
だから今まではFRBによる緩和措置で、かろうじて生き延びてきたに
過ぎないのだ。
しかしQE2が終了したところで、もはや打つ手はナシ。
万事窮すといったところか。
やや見方が逸れるが、ウィキリークスもバンカメが最も危ないという
記事を残している。


そしてペテン格付け会社ムーディーズが先日、日本国債を引き下げ
たという報道があった。
引き下げは実に9年3カ月ぶりという。
理由は震災、円高、首相の交代が多いというものだ。
実に馬鹿げている。 まさにそっくりそのままペテン会社だ。
数字で出すならまだしも、曖昧な理由ばかりである。
日本が他国より勝っている要素は沢山ある。
技術革新力だけでなく、失業率と対外債務はG7で最も低い。
財政赤字も他国から借りているのは、全体のたった5%程度。
おまけに20年間連続世界一の債権国家。
預貯金といった個人資産も世界一。


首相の交代が多いという理由も笑わせる。
最初の小泉を除けば、1年ごと交代してきているのである。
この5年間は格下げしなかったではないか?
やはり米国経済の危機が、ここへきて一層深刻化してきていることか
ら、日本国債を意図的に格下げ、マネーを米国債に向かわせる為の
政治的な策略だと考えていい。
政治との癒着が激しい格付け会社は、いつも汚い手を使ってくる。


いずれにせよ金融機関については国有化されるか、リーマンのように
思い切って破綻させるかのどちらかだろう。
それと金融機関の破綻についてばかり書いたが、今以上の円高が襲
ってくることも間違いないことである。
新しい総理の顔にもよるが、再び円安介入に踏み切る可能性は高い
といえるだろう。
それでも十分追い付かず、一気に70円台前半まで進むことは、もう
確実である。


9月15日まで、残すところあと2週間。
しかも米国にとっては都合がいい(!?)ことに、金曜日ではないか。
一応心構えだけは忘れないでもらいたい。



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