ポルトガル財政危機 国債利回りが急上昇 スペインも運命を共に

ポルトガル国債の利回りが急上昇している。
2年物短期国債は約6.7%、5年物中期債は約8.2%、そして最も
注目される10年物長期債は7.786%、そして30年物超長期債に
至っても約6.65%と、いずれもユーロ加盟以来の最高値だ。
週明け後も一気に加速し始める可能性が高い。


この最大の理由として、米国のペテン格付け会社であるムーディーズ
が先日、スペインの金融機関30社を格下げしたことによる波及だ。
このほとんどが 「カハ(caja)」 と呼ばれる貯蓄銀行
同国銀行業務のほぼ半分を牛耳っているという。
政治的にも結びつきが強いようで、取締役20人のうち過半数がカト
リック教会関係者で占めらいるようで、そのうち6人は何と神父だった
という。 つまり非営利団体の金融機関ということだ。
日本でいえば07年までの国営機関 郵便貯金といったところだ。


先日のブログでも紹介したが、スペインが最も多く融資している国が
ポルトガルだ。
当然アイルランドギリシャにも融資しているが、ポルトガルに対して
は3ヶ国中全体の8割をも占めている。
あまりにも偏る過ぎる。
どうしてもっと分散しなかったのだろうか?
スペインによるポルトガルへの融資額は、ドイツ、フランス、英国、
米国より遥かに多いのである。

つまりポルトガルの危機はスペインに直結するようになっている。
ある意味で両国は一蓮托生の運命にある。


今のスペインは貯蓄銀行問題だけではない。
今回格下げを見送った同国の大手銀行である、サンタンデール銀行
やBBVAについても、不良債権問題による引当金の取り崩しに直面
している。
ポルトガルが、ギリシャアイルランド同様に支援を受ければ、株価
下落だけでなく国債利回りも上昇するだろう。
去年11月から比較的安定している国債利回りも、再び上昇する運命
にぶち当たるわけだ。


PIIGS最後の問題児はスペインである。
イタリアだと思う人もいるだろうが、イタリアも巨額な財政赤字の中で、
スペインにも融資しているのだが、額は比較的小さい。
ただイタリア国債の約4割が外国人によって占められていることから、
最後の最後は両者が共倒れになっていく運命かもしれない。
もしくはやや起これてイタリアに危機がやってくる程度だろう。
その前に英国がやはりヤバい。
イタリアより先にEUやIMFから支援を申請するかもしれないのだ。


為替相場も震災後の円安介入で、1ユーロ113円程度で推移してい
るが、その一方でドル安が再び始まってしまった。
半年前までは対円で84円を切ると円安介入していたのだが、今では
80円台なら全く介入しなくなった。
円高ドル安は時代のトレンドである。
世界中の投資家もリスク資産は抱えたくないから、円が買われている
という理由は当然であろう。



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