イタリアが債務不履行危機 8・9月の国債償還額は莫大

日銀が東日本大震災以来の円売り介入を実施した。
3日には東京市場で初めて1ドル76円台を突破し、その後の海外市場で
も戦後最高値に迫る水準で維持していた。


4日に円売り・ドル買い介入を実施した後、円は一時的に80円台まで戻
した。
対ユーロでも113円台まで円安が進んだ。
しかし、こういった当局による人為的な介入効果が長続きしないことは、
もはや明らかである。
4日のロンドン市場では再び70円台に戻している。
つまり早速買い戻されているわけだ。
しかも今回は協調ではなく、単独介入である。


日銀が思い切った円売り介入に踏み切った理由は、米国のデフォルトが
回避された後でも、ドル安が改善されないこと。
それから同国の7月の失業率がまもなく正式に発表されるので、場合に
よっては円の最高値があっさり更新する可能性があるからだろう。
欧米諸国や中国経済が悪化する中、それに追い打ちをかけるような円高
は、輸出企業の収益にますます拍車がかかる。


もうひとつの要因がある。
ユーロ諸国の財政危機が、まもなく本気で爆発しそうなのだ。
その国とはスペインとイタリアである。
10年物長期国債の利回りが、両国とも6%という高水準に達している。
ギリシャアイルランドポルトガルがEUやIMFで支援を求めた時が約
7%であったことを考えると、まさにそれらの国以上の不安が襲いかかろ
うとしているのだ。


その中でもイタリアが非常にヤバくなっている。
その理由は、国債の償還日がこの夏休み時期に集中しているからだ。
イタリアは財政赤字がGDP比118%。
問題は外国人投資家の保有割合が高いことが懸念材料である。
この点が日本と全然違う。


さらに直近問題として、8月と9月にやってくる国債償還の額が、まさに
トンデモない額に達することが判明。
イタリアの短期・長期国債償還額が、この2か月間だけで1000億ユーロ
にも達する
というもの。
これが今以上の円高・ユーロ安に拍車をかけることは確実。
日銀や財務省当局も、このような海外のスケジュールは把握しているか
ら、早めに先手を打ったのだろう。
だが言い換えれば 「梨の礫」 でしかない。


日銀総裁東日本大震災後の日本経済について懸念を示しているが、
そんなことは海外の投資家は特別気にしていない。
あくまでも経済という全体像で判断しているのだから。
短観でもユーロの債務問題、米国のデフォルト懸念再熱などを考えれば、
もう日本しかなくなる。
さらに失業率もこういった国よりも低い。
莫大な財政赤字といっても、国内でほとんど消化。
だからイザ資金が流出するといっても、せいぜい5〜6%。


とにかく大学生の夏休みが終わる9月末までには、円は対ドルでは戦後
最高値、ユーロにおいても1年ぶりのユーロ安水準(107円)近辺に到達
するだろう。
例外として、再び円売り介入しないというのが前提であるが。。。
私の予想はいつもこれで裏切られている。



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