米国(アメリカ)失業率 雇用が増加しても、統計数字が横ばいな理由

国労働省が発表した3月の雇用統計によると、非農業部門によ
る雇用者数は前月比で16万2000人増え、07年3月以来で
最大の増加になったという。


しかしこの大幅増の3分の1近くは、調査に向けた職員の一時的
な雇用が原因だというのだ。
これは10年ごとに実施される米国勢調査に向けた臨時雇用が、
4万8000人の雇用増につながったものに過ぎない。
安定的な労働市場の回復にはまだまだ時間がかかることが示さ
れた格好だ。


同統計によると、3月の週平均労働時間は34時間。
前月水準から0.1時間増加した。
一方で3月の平均時給は前月比0.1%減少し、22.47ドル
となったという。
これでも日本の一般労働者よりは高額だが、貧富の差が世界一
激しい国だけに、いまだ生活環境が改善されていない庶民は多い
だろう。


さて今回発表された失業率は3カ月連続で9.7%。
しかし一ヶ月間で16万人余りの雇用が増えたというのに、
数字の改善が全く表れていない

摩訶不思議な感覚を覚えるのは私だけだろうか?
失業率の定義はそれぞれの国によって若干違ってくる。
もしかしたら米国では、臨時的な就業者は人数に含まれないとい
うこともあるかもしれない。


やはり妥当な考えとしては、
臨時雇用者数と同じくらい、失業者数が増えたのではないか. . .
という見方だろう。


各社のオンライン記事を読んでも、2月に襲った大雪の影響が遠
のき、雇用が改善した。。 という楽観的な掲載しかしていない。
これもある意味で政治的な陰謀策が見え隠れする。
時間給をわざわざ紹介したのも、米国が依然として高給なのだと
いうことを世界にアピールさせたいがためだ。


09年春から復調したという経済は、リーマンショック後の反動も
大きいが、大規模なリストラを実施したことによって収益が改善
したということもある。
しかしそれも今年の後半に差し掛かると、こういった失業率だけ
でなく、経済全体の回復が一時的だということがわかるだろう。


個別にみても、サブプライム層の底は1年前には終わっている。
もちろん一人一人の借り手の生活環境は大変だが、マクロでみた
場合、2番底はもうない。
今後訪れるのはプライム層や商業不動産の総崩れだ。
サブプライムローンの数倍の規模を借りている。
こういった富裕層はすでに仕事を失っても、預金や株を持ってお
り、そういった資産の売却で当面喰い繋いでいくことができるが、
いつか限界は訪れるもの。
その最悪期が、1年半後の2011年秋だ。



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