欧州(ユーロ圏)ストレステスト 政府系銀行は巨額資本不足が露呈か

今月実施される欧州のストレステストの結果で、最大で20行もの
銀行が資本不足に陥り、最高で300億ユーロの資本増強が必要
になるだろうと、英国フィナンシャルタイムズが伝えた。


投資銀行の幹部は、資本増強を求められるのは体力が脆弱な銀行
に限られないと指摘しており、各国のトップ級銀行どころか、欧州
全体の上位3〜4行でさえ、経営安定策を考えているというもの。
私のところだけは万全だなどと誰も言えないはずだと述べた。
こうした見方は、各ユーロ圏国債に対する懸念がくすぶる中で、
不良債権等の先行きへ不安が、非常に根強いことを反映している。


査定対象範囲も、当初の26行から100行規模にまで拡大され、
国債保有高の開示も査定項目に追加されたのだ。


欧州最大の経済大国であるドイツの銀行筋によれば、とりわけ地
方銀行8行の経営基盤が脆弱だとみられており、このうち最大4行
が資本不足と判定される恐れがあるという。
ドイツ連銀の会議に出席した銀行関係者によると、欧州各国で行
われるストレステスト結果の公表は、当初の予定より一週間遅れ、
7月23日になったらしい。


はっきりいって資本不足ならどこの銀行だって珍しくない。
一番の問題は、どれほどの額にまで悪化しているかだ。
もちろん月日が経てば、どんどん負債が膨らんでいく。
欧州中央銀行(ECB)は、今回の危機でPIIGS諸国の国債を購入
した。 しかしその額は日本円で5兆円程度
無理もない。 現時点で表面的にも米国債のような最上位格付けで
はないので、紙屑同然の国債を大量に購入することはできないのだ。


そしてこれからは、ドイツの地方銀行やスペインの貯蓄銀行同様、
イタリアの銀行も標的になる。
イタリア国債はドイツやギリシャほどではないが、海外依存は5割
近い。こういった民間銀行が、かなりの割合で国債を購入している
ことから、信用不安は輸出競争力があるドイツ以上に高くなる。
スペインの貯蓄銀行についても同じく、上場すらしていないもの、
信用不安が広がると一気に国債に飛び火する。
とにかくスペインの162億ユーロともいわれる巨額の国債償還が、
いよいよ今月に訪れるのだ。


国債の海外依存度が高い国は信用不安が訪れた時、ヘッジファンド
などから一気に引き上げられてしまう。
これまでの典型的な国が、ロシア、アルゼンチン、韓国だった。
通貨危機が訪れると債務不履行に陥り、あっという間にIMF傘下
に入ってしまったのだ。
いかに日本はそういった不安が小さいかがわかるだろう。


現在サッカーのW杯が佳境に入っているが、イタリアの名門チーム
であるASローマが、いま経営破綻寸前に追い込まれているようだ。
かつて日本代表監督として、94年の広島アジア五輪まで勤めてい
た、ブラジル出身のファルカン氏が在籍していたチーム。
英国のマンチャスター・ユナイテッド同様の状況に追い込まれてい
るのだ。



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