スペイン経済・財政危機 2011年は正念場 ECBの支援が再び。

97年から翌年にかけ、ロシアが発端となって、東南アジアや韓国
通貨危機が起きたが、今現在の欧州は通貨が投機の対象では
なく、国債や銀行負債が世界的な大問題になっている。


ギリシャ・ショックから始まり、ユーロ圏でアイルランドポルトガル
に次いで危機を迎えそうなのが、スペインである。
何せ同国の経済規模は桁違いに大きい。
具体的にいえば、ギリシャポルトガルアイルランドを合計した
経済の2倍はあるのだ。
だから金融資産のほうも倍以上ある。
仮に同国の金融市場に、ギリシャアイルランドと同じように危機
が起これば、債権者であるドイツやフランス、英国の銀行が深刻な
影響に陥るのだ。


実際に危機はヒタヒタと迫っている。
スペインは今年2011年、大量の国債償還を迎えるからだ。
去年7月は162億ユーロもの国債償還を切りぬけた。
しかしこれは自力で解決したものではない。
ユーロ中央銀行であるECBがかなりの援助を行ったからである。
しかしその後アイルランド危機が勃発し、ギリシャ同様、第2、第3
の支援がこれから不可欠になってくるのに、スペインの支援なんて
十分できるわけがない。
1回くらいは手助けするだろうが、2度目までは保証できないのだ。
額があまりにも多すぎるからである。


今年スペインの大量な国債償還は、まず5月にやってくる。
その額約240億ユーロ。 前回よりずっと多い。
そして8月、10月に各225億ユーロ相当の償還がやってくる
のだ。

以前のブログでは筆者は、スペインの危機は今年の夏に本格的に
やってくるだろうという予想を書いた。
だから2回目の償還日がやってくる8月頃に、ユーロ発の大恐慌
起こる可能性が高いのだ。


さらに心配されることは、ドイツに次ぐ経済大国フランスやベルギー
といった国についても、今年後半には危機がジワジワ襲ってくるだ
ろうということ。 もちろんイタリアも例外ではない。
実際CDSスプレッドは、まだ今のところは山といえるような上がり
調子ではないが、平行線から緩やかな丘のように上昇してきている。


為替相場も年末年始はユーロが激しく動いた。
一時1ユーロが107年に下落したと思ったら、その後すぐに110円
台にまで上昇。そして今はまた108円台に落ちている。
12月はユーロ圏の会計年度末(決算期)であるため、金融機関の業
績が芳しくなかったのだろう。
ユーロ圏ではないが、英国は消費税を4日に17.5%から20%に
再び引き上げた。
その英国ポンドはここ数日、ユーロ以上に下落している。
英国もスペインと同時期に本格的な危機を迎えるだろう。


去年9月に来日したスペインのサパテロ首相は、日本と社会保障
定と科学技術協力の協定を結んだ。
今年はスペイン経済の行方を静かに見守っていくしかない。



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