ギリシャ経済・財政危機 ECBは国債の購入や融資延長に走るか(1)

ギリシャパパンドレウ首相は、スイスのダボスで26日から開催さ
れている世界経済フォーラムで、同国が債務不履行(デフォルト)に
陥ることも、債務再編を迫られる可能性も無いという見解を示した。


しかしその一方で、EUやIMFによる融資の期間延長、利率の引き
下げは必要になるかもしれないとの考えも示した。
同首相は去年春に起こった欧州危機後は、厳しい緊縮財政措置を
導入しているとし、年内にも資本市場からの資金調達を望んでいると
述べたようだ。


しかしギリシャの現状からみれば、民間の投資家や機関からの調達
はとても無理だろうと思われる。
CDSスプレッドも900〜1000の間を彷徨っており、ひとたび危機が
再熱すれば、今以上のスプレッドが上昇することは間違いないからだ。
だがECBやIMFといった公的機関は、同国債の購入や融資などの
援助は再び実施するものと思われる。
ECBは当然だが、米国のIMFだって今以上の欧州危機が拡大する
と、自国経済の悪化を招くからに他ならない。


2011年は再びギリシャ危機が戻ってくる可能性が高い。
アイルランドの850億ユーロで初めて使った欧州安定基金だが、
今年前半には、ギリシャをはじめとしたPIIGS諸国に融資されるこ
とになるだろう。
その発端となる要因が、ズバリ各国の国債バブルである。
これが再び暴落することになりそうだ。


2010年3月末から5月初めのたった1カ月半で、ギリシャの10年
国債利回りは、6%から13%まで一気に上がった。
その間の同国債価格は、額面の100から65まで下落したのだ。
この短期間で35%という価格下落は、リーマン・ショック後に下落
したNYダウと同じである。

まさにパニック売りだったのだ。


こういったことと同じことが、今年は英国にも飛び火しそうである。
また比較的安定をみせているフランスも危ない。
何度も言うが、ギリシャ国債を最も多く保有していたのは、何を隠そ
うフランスなのだ。
だから英国やフランスといったトリプルAの国債が、いよいよ危うくな
る年だろう。


ところが一般的な欧州危機に加えて、今年はもう一つともいえる厄介
な問題が発生することになる。
それが2003年から務めてきたECBトリシェ総裁の任期が、今年の
10月で切れることだ。
ギリシャ国債を最も保有するフランス出身の総裁が引退後、次期最
有力候補といわれるのが、ドイツ銀行出身のある人物。
現総裁と比べて、PIIGS国債の購入に消極的な人物だ。
この不安材料について次回のブログで紹介します。



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