韓国 円高ウォン安でLEDや半導体製造装置の誘致を活発化

住友化学は28日、LED用基板事業で、韓国サムスン電子などが出資
する三星LEDと6月に合弁会社を設立すると発表。
液晶テレビや照明用などに、今後市場拡大が見込めるLED材料の需要
を取り込むもので、本社は韓国に置くという。


住友化学といえば思い出すのが、「オリセットネット」 という蚊帳だ。
殺虫剤を練り込んだ樹脂を糸に加工し、殺虫剤が次第に表面にしみ出す
という仕組みで、これまでアフリカの貧困国に寄贈してきている。
世界で毎年5億人がマラリアを発症し、100万人以上の子供たちが命
を落としているとされるが、その約9割はアフリカのサハラ砂漠より南の
地域で発生している。


この蚊帳がアフリカで需要を急拡大させているのだ。
需要だけではない。現地生産も拡大させていることから、かなりの雇用
を生んでいる。
2004年には米国のTIME誌で、“ 世界一クール! ” と絶賛されている
のだ。
今回は同社の蚊帳ではないが、日本が生んだLED分野で韓国と合弁し
て販路を拡大していくという。


また半導体製造装置の東京エレクトロンも、去年は韓国での現地生産
開始することを決定しており、これまでの3倍もの生産能力を上げていく
という。
韓国や台湾では、半導体だけでなく家電や携帯電話といった製品作りに
おいても日本の工作機が必要不可欠。
これからは円高が一層進行していくこともあり、韓国側はなんとか貿易に
頼らず、現地生産でお互いWin・Win関係を築いていきたいというものだ
ろう。


とくに家電においては、新興国で韓国企業の躍進が目立つ。
いや新興国だけでなく、欧州でも韓国メーカーの存在感が大きい。
インドでの家電売上はようやく去年7月になって、サムスンを抜き去り、
ソニーが首位に踊り出たが、全体的にはまだ韓国勢が占めている。
インドではエアコン、冷蔵庫、TVなどは韓国製品だが、オーディオ製品
については日本メーカーが選ばれているらしい。
こういった製品について今後日本企業に期待したい。


それにしても韓国企業は広告費をよく使う。
例えばソニーは売り上げの1%程度を広告宣伝費に使うが、サムスン
3%まで使うというのだ。

日本から素材や中間財といった資本財を多く輸入しているのに、これで
純利益が上がるだろうか?
広告宣伝費はあくまでも経費だが、利益が出ないとなると、企業だけで
なく国の基準も変えていく必要があるだろう。


しかしこれが韓国での現地生産となると、ちょっぴり不安は解消する。
貿易面では赤字がやや解消し、現地の人の雇用も生まれるからだ。
国や自治体としては法人税も入ってくるだろう。
ある意味で原子力発電所の設立と同じである。
とにかく住友化学東京エレクトロンとしての魅力は、販路の拡大。
日本企業の収益も向上してくる。


携帯電話のiPhoneやiPodは、日本の部品が多いことは承知の通り。
部品を中国に輸出して、それを海外に売っている。
こういった製品で最も収益を上げているのが、実は中国でも米国でもなく、
日本だという。

こういった技術は日本でしか産めないが、一方で中国の人件費が上が
っていくと、当然現地生産はもっと安い国にシフトしていくことになる。
当分はこういった構図が続いていくだろう。



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