米国(アメリカ)の失業率が再び増加 円高に向けて追い風

米国の6月における失業率が9.2%であったことを同国労働省が
発表した。
報道された内容をみてみると、非農業部門の雇用者が1万8千人の
増加に留まり、予想の10万人に届かなかったというもの。
10万人の予想が1万8千人しかなかった。。。
いかに見通しが甘いかがわかる。


ここへきて米国の失業者は再び増え続けている。
今年3月は久々の8.8%まで下落し、景気回復を裏付けた報道が
されたが、4月は9.0%、5月は9.1%。。。 と徐々に悪化してき
ている。
非農業部門がプラスにもかかわらず、指標が悪化してきているのは、
それ以上に農業部門が減っており、連邦機関といった公的部門の
雇用についても徐々に減っているという証拠だ。
とても哀れである。
各紙ともこういった詳細な内容は伝えていない。


とにかく今の米国政府は、州政府や地方自治体には非常に厳しい。
連邦政府には20万人の雇用を創出したにもかかわらず、州政府は
6千人の減員、地方自治体も13万人近くも減らしている。
もちろん民間企業はこの何倍も削減している。
再び最新の情報であるが、州政府の財政赤字は1兆1900億ドル、
地方自治体の財政赤字も1兆7400億ドルに達している。

もう将来においては、事実上のデフォルト状態である。


どこの国でも不動産価格の下落は致命的だ。
米国の住宅価格はピークより3割下落、法人向け商業不動産価格
は4割も落ちている。
住宅の差し押さえについても、2009年は100万戸を下回っていた
のだが、ついに2010年は100万戸の大台を突破した。


新築住宅着工件数もピークの5分の1以下になっており、販売件数
に至っては過去最低になってしまった。
今年5月の販売件数は1963年の統計開始以来、最低だったという。
反対に増加しているのが差し押さえ件数だから、米国経済は実態に
おいても確実に悪化しているのである。


現在米国経済を支えているのはFRBである。
国債の買い取りであるが、もはやこれを続けていくしか方法はない。
もうここまで悪化したら、日本や中国の資金援助なんて梨の礫だ。
しかしこれもスタミナ切れである。
債務の上限が逆換算で5月16日にやって来ることがわかっていたか
ら、再度の量的緩和をやめたのである。
だから仮に連邦債務の上限引き上げが見事法案で決まれば、米国
政府は真っ先にQE3を発動するだろう。


最後に量的緩和の実行は、円高を加速させることはいうまでもない。
安全な円やスイスフランが一層買われることになる。
これは国債や株式にも、日本にマネーが押し寄せるということだ。



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