EU大統領が7月21日に、ユーロ圏緊急会議を発表したワケ

欧州連合(EU)のファンロンパイ大統領は先日、ユーロ圏17カ国による緊急
首脳会議を21日に開催すると発表。
理由はギリシャの債務問題に解決の道筋をつけ、危機の波及を回避するの
が狙いであるというもの。


これに先立ち、ドイツのメルケル首相とフランスのサルコジ大統領が会談する
ことになっている。
この2ヶ国がギリシャに対し最大の融資国であることから、今後の対応につ
いて話し合うというものだ。


メルケル首相は当初、ユーロ会合に消極的だったが、ファンロンパイ大統領
の強い要望と、その頃襲ってきたイタリア危機についても対応する必要性か
ら、会談に臨むことになった。
大統領のメンツを立てるためと、自分がユーロ圏の中心だという責任感から
最終的に決めたのだろう。


しかしギリシャの緊縮財政案は、先月6月29日に可決している。
否決されたのなら理解できるが、なぜまた再びギリシャ問題について話し合
う必要があるのだろう?
四半期どころか、あれからまだ3週間しか経っていないのだ。
ギリシャの会計年度末は毎年6月だから、再々危機が浮上してくるのはまだ
先のことだろう?
どうも腑に落ちない. . . 。 そう考えるのが普通である。


やはり何といっても、米国の債務上限の期限が目前に迫っていることが最大
の理由だ。
なかなか進展しない上限問題に、EU大統領も焦ってきている。
だからメルケル首相はEU圏内でないにもかかわらず、事前に米大統領と電
話で話し合っている。

現地時間7月22日までに法案が成立しないと、8月2日の施行までに間に
合わなくなるのだ。
ついに米国はこれまで通り、国債を刷って借金できなくなってしまう。


不成立に陥ったら、今以上の急激な資金回収が襲ってくるだろう。
それはユーロ圏だけでなく、東欧や中東、アジア、南米といった新興国にも
連鎖的に波及していく。
イタリアやスペイン国債の利回りが、緊急会合召集発表の時期に急上昇した
のは、ある意味で世界恐慌の序幕であったというシグナルだ。
せっかく先の法案で延命できたギリシャも、金額如何によってはあっという間
にユーロ不足に陥るだろう。
だが仮に成立したとしても、今度は何を担保にするか・・・が問題になる。


5月16日以降は、年金財源と連邦職員の退職金を切り崩しながら国債を再
び増発してきた。
しかし今度はコレといった担保は見当たらない。
単純にいえば、ギリシャのような思い切った緊縮財政しか無いだろう。
つまり連邦職員や州政府、地方自治体の人員削減が今以上に進むというこ
とである。
資産の売却なども同時に実行されていくだろう。
外交費や軍事費も具体的な削減目標として公表されていく。


そして住宅市場もどんどん下落し、縮小していく。
為替も大きくマイナス方向に動き、失業率もどんどん悪化していく。
さらに世界的な金融機関も大打撃を受けることになる。
先月まで量的緩和(QE2)で資金を底なしのように受けていたゴールドマン
は、もう量的緩和がなくなったので、今回1000人のトレーダーを削減する
ことを決めた。
だから9月には久々に巨大銀行の破綻が起こる可能性が高い。



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