改正建築基準法を施行したことによる不況

2005年11月から全国規模で話題をさらったニュースといえば、集合住
宅における ‘構造計算書偽造問題’。


姉歯秀次一級建築士が、地震などに対する安全性の計算を記した構
造計算書を偽造していたことを公表したことに始まる一連の事件です。
その後、耐震偽装問題 とも呼ばれました。


それより以前の国内における建築市場は大変活発化していました。


小泉元総理による建築基準法の大幅な規制緩和
主に商業ビルを建築するための容積率を緩め、国内の建設会社やその
下請け、孫請け企業が儲かっていきました。


日本はもともと地震列島ということや、地盤が軟らかい関東ローム層
という地質から、新しいビルやマンションを建てることに際し、容積
率をとても厳しいものにしていました。 つまり、


新しく建てる場合、あまり高くしてはいけない。。
という長年に渡る消極的な考えだったんです。


数十年前の建築技術ならともかく、今の日本技術は世界でもトップ。
耐震技術については、間違いなく世界一の筈です。
これが21世紀に入っても、昔のままだったんですね。 情けない!


石原東京都知事が、10年ほど前に就任した際、都庁の知事室から外を
眺めた時、‘いゃ〜、東京は小さな建物ばかりだな・・・’
と言ったのは知られています。


しかしその後小泉元総理が首相になり、おかげでここ5〜6年間、全国
の主要都市をはじめとして、50階・60階建てのビルやマンションが
たくさん林立していきました。


建築資材の調達が桁外れに多くなり、おまけに新会社法も手伝って、
たくさんの会社が生まれ、入居していきました。


マンションも同様です。
この規制緩和で分譲する戸数が一気に増えたため、当然のこと入居数
も増えました。このことによってどういう相乗効果をもたらすか?


生活必需品の購入も同様に増えていき、消費のほうも活性化。
おまけに高いビルが建つと、その周辺は自然に需要が上がるわけです
から、不動産市場も活発していったわけです。


森ビル社長は、“東京を世界一の摩天楼にしたい。” と言いました。


私は個人的にこの規制緩和が 戦後最長の景気拡大 をもたらした要因
だと考えています。


決して欧米やアジアに対して輸出が増えたからではありません。
(統計上、こちらの要素のほうが低かったという結果が出ているのです)


しかしその後姉歯問題が起こり、阿倍元総理の時に‘改正建築基準法
を認めてしまい、需要が一気に落ちてしまいました。
とにかく私は自民党に対し、声を大にして言いたい。


“何事も規制する場合は、景気に影響があるかないかをまず考えろ!”
と。


今の法律をさらに厳しくすることはとても簡単なんです。
だから逆に規制を行う場合は、慎重になって考えろということです。
(もちろん緩和する場合は、思い切って決めることが大事)


長年長期政権に居座った自民党は、一度昔に決めた法律を変更するこ
とができません。まさに「官制不況」が治らない理由です。


 ★シティアライアンス 代表兼 「ヒルザー・ドットコム」 運営者