英国(イギリス) 不動産バブル崩壊から国家破綻へ(1)

英国政府と実質国有化されたロイヤルバンク・オブ・スコットランド
(RBS)とロイズは、資本増強と資産売却を柱とする2行の再建計画
を発表。
RBSは255億ポンド(約3兆8000億円)の新株を英政府が引き
受け、最終的に資産売却を拡大。
ロイズのほうは総額210億ポンド(約3兆1000億円)の資本増強
を実施した上で、こちらも一部拠点を売却するという。
RBSには将来 「最悪の事態」 が発生した場合、最大で80億ポンド
公的資金を追加することも検討中だという。


英銀再建は新たな段階に入ってしまった。
今後は大幅な再編も視野に入れると思われる。
どこの国でもそうだが、金融システムの安定には国有化が有効。
そこでロイズの場合も同様と思われたが、英国政府のバランスシート
に同銀の資産が組み込まれると、国家そのものが立ち行かなく危険
性があるため、全てを国有化することはできなかった。


ロイズの損失額は数百億ポンドの損失があるらしいが、商業不動産や
ホテル、レジャー向けの融資が毎月のように悪化している現状をみる
と、今後も膨れ上がっていくのは間違いないだろう。
今は銀行の信頼を維持するために、英国は 「政府保証」 という方向
に動かざるお得なかったのである。


同時に英国の消費不況も一層深刻化している。
昨年から今年の年末まで、景気のテコ入れのために時限措置として
消費税を下げていたのだが、一向に景気の改善が見られない。
今年の企業の不良債権は前年比で5割も増えると予想されており、
住宅価格も前年比で10%以上も下落する見通しだ


とうとう英財務省は、財政再建問題を少しでも解決するために、来年
2010年度から高所得者への所得税率を上げることにした。
15万ポンド(約2250万円)以上の所得者に対して、所得税率をこ
れまでの40%から50%に引き上げるというもの。

この決定に際し会合に出席していた大企業の幹部は、一斉に大臣と
首相を批判した。


この政策は中長期的に考えると、大企業や富裕層の国外移転が予想
され、自ずと金融国家の衰退を意味するものである。
そしてついに英国は別の対策を打ち出した。
政府が持つ国有不動産の売却も報道することになったのだ。



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