ドバイ 地獄の経済破綻 金融危機と不動産バブル崩壊(5)

ドバイはあくまでも、UAE(アラブ首長国連邦)の一部に過ぎない。
あんな小さな地域でありながら、GDPは青森県に等しいという。
GDP統計は去年、原油価格が異常なまで高騰していたことを考え
れば、確かに一時的な数値に過ぎないが、それでも大き過ぎる。
異常なまでの不動産バブルが起こっていたという証拠だ。


事実上破綻してしまったドバイワールドは政府系ファンドのひとつ。
資源の高騰も続いていたこともあり、ドバイ政府の関与があったか
らこそ欧州の金融機関が大量にローンを貸し出していた。
それによって証券化商品もうまい具合に流通し、格付けも問題ない
という現実もありました。
だからこそ、あのような 「砂上の楼閣」 やら 「海上の楼閣」 が次々
と建設できたのでしょう。


しかしこういった信用問題も今にしては空しい。
ドバイ政府もUAEも、“保証などした覚えがない” と言いだす始末。
政府の裏付けもまさに砂上の楼閣だったわけです。


とにかくドバイだけに限らないが、新興国の考え方や姿勢はとくに
注意が必要です。
将来的な見通しについては欧米諸国も同様で、大きな過ちを冒しま
したが、新興国は一部の国を除いて、きちんとした契約を最期まで
順守しないか、もしくは曖昧な点が多いというリスクを抱えてしま
います。
インドといった国は、かつて宗主国が英国だったこともあり、契約
についてはきちんとした考えを持っていますが、中国や中東諸国は
朝令暮改が日常茶飯事であり、短期に至っても信用できません。


とにかくドバイにとって深刻なのは、証券化商品としてレバレッジ
が数十倍にも膨れあがってしまうことです。

ドバイワールドの資産規模が約54兆円といいますから、実際には
その10倍〜50倍相当の証券化商品が回収不能になるでしょう。
事態の大きさを見誤ってしまうと大変です。


2010年は欧米諸国にとって一層の危機が訪れます。
各国の政府は、どこも同じ考えを持っていることでしょう。
世界中で十分な資金調達を可能としてくれる国は、もう日本以外に
ありません。
しかし一度このような苦い経験を味わい、信用面を綿密に調査する
日本人は、これからの時代はますます消極的になっていきます。
最期は断腸の思いでIMFにお願いするしか道はないでしょう。



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