米国プライムローン延滞率が急上昇 最悪期は2011年の秋。

米当局が発表した第3・四半期の米モーゲージリポートによれば、
深刻な延滞状態にある米プライムローン(優良顧客向け住宅ローン)が、
前期比20%近くも増加したという。


前年同期比では2倍以上に増加。
深刻な延滞状態にあるプライムローンの比率は3.6%となった。
米国では60日以上延滞しているローンおよび破産した借り手に対す
るローンを 「深刻な延滞」 と定義している。
銀行と貯蓄金融機関が第3・四半期に行ったローン条件変更などの
差し押さえ対策は240万件にも上った模様だ。


米国の住宅ローン政策は、当初数年間の金利を抑えたり、金利のみの
支払いを行ったりと、購入時の返済負担を軽減したものが普及した。
そのため債務者が、自分の返済能力を無視した借入を行うことが可能
となって、そのような無謀な貸付が増加していたのだ。


不動産は下落しないという幼稚な信仰が定着していたことにより、
住宅価格が大きく上昇すれば、その住宅を転売してローンを返済し、
さらに売買差益も得ることも可能であった。
当初負担の軽い返済方式の普及によって、現実の所得からすれば本来、
住宅ローンをとても組めない人にまでローンを組む人が増えて、住宅
ブームが拡大する間は破綻が表面化せず、住宅ブームを加速させた。


しかし現実的には、最初の支払額を軽減した返済方式は、期間経過後、
支払額が急増するというリスクをはらんでいる。
言うまでもない。急に金利負担が急上昇してしまうということだ。
過去のブログでも記載したが、金利負担が今より2倍、3倍、4倍と
増えてしまうことにより、差し押さえが現実味を帯びるということだ。
その最悪期が2011年の秋頃になる。 
しかしこれはあくまでも最悪期であって、この頃までには確実に
米国住宅事情は破綻してしまっているだろう。


現実的に今年の春ころから、プライムローンや商業不動産を扱ってき
た金融機関の倒産がバタバタ増え始めた。
その代表格が4月中旬に倒産した、米国ショッピングモール2位の
ゼネラル・グロース・プロパティーズだ。
同社は220以上のショッピングモールを全米に展開していた。
負債総額は270億ドルで、不動産の倒産規模としては米国の歴史上、
過去最大。
1954年創業の古参で、商業用不動産を中心に買収を重ね事業規模
を大きくしてきた会社だ。
景気悪化による資産価値低下により、負債が一気に急増したことが、
大きな原因だ。
これからも全く同じようなケースで、来年は今年以上の倒産劇が控え
ているだろう。



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