米国(アメリカ)商業不動産バブル崩壊 住宅差し押さえが2割増。

デフォルト(債務不履行)関連データの販売を手掛ける米不動産仲介
会社リアルティトラックによれば、09年に米国内で差し押さえ通
知を受けた抵当住宅物件の数は、前年比21%増の約280万件と
なったという。
これは07年からと比較すれば、120%も増加したというもの。
この件数には債務不履行の通知や、競売の通知、そして担保権実行
を受けた物件数が全て含まれる。


09年の差し押さえ数字は、率にして45世帯あたり1件の割合。
06年の4倍近くにもなったという。
大量申請による融資手続きの遅れがなかった場合、この割合は更に
悪化した可能性があると指摘する。
しかし野宿といった事実上のホームレスになることは、誰も望んで
いないわけだから、このようなコメントには説得力が薄い。


同社によれば、今年も住宅差し押さえ件数の記録更新は続き、少な
くとも300万件以上の可能性があるとみられている。
さらに競売の通知、所有権移転を合わせた差し押さえ手続き開始件
数を含めると450万件を上回ると見込まれている。
不動産価値は今後も当分止まりそうにないから、住宅を手放す人は
来年、再来年も増えていくだろう。
失業でローンの返済を踏み倒すことができても、住宅を踏み倒すこ
とは許されないから、ますます家を失うことになる。


住宅差し押さえ件数の最多はカリフォルニア州の約63万2千件。
次いでフロリダ州の約51万6千件、アリゾナ州16万3千件、
イリノイ州13万1千件と続いた。
さらに差し押さえ率が最も高かったのはネバダ州で3年連続トップ。
なんと10世帯に1件が通知を受けたという。
2番目に高かったのはアリゾナ州で、6%超の世帯が通知を受けた。
3番目以降はフロリダ州の5.93%、カリフォルニア州の4.75%、
ユタ州の2.93%。


景気が安定してきたといわれた去年でさえもこのザマである。
何度も言うようだが、米国の景気回復説というのはリストラによっ
て底を打ったということでしかない。
昔から同じことを繰り返してきているのだ。
ジャンボや、オルトA、プライム層の金利は上昇傾向にあるから、
これまで3軒、4軒と保有していた富裕層までも、今後は1軒ずつ
失うハメになるであろう。


2010年以降は住宅ローンの金利が急上昇を始める。
天井は2011年秋である。 一気にこれまでの金利負担が3倍にも
膨れ上がるのだ。
つまり去年までは経済実態が悪化していたため、住宅を手放す人が
多かったのが、今年からは金利負担といった要素が加わり、
住宅を失う人が一層多く出てくるのである。

これまで通り仕事を続けられても、返済が急激に増えてくるので、
たとえ失業していなくても、差し押さえを食らってしまうのだ。


去年までは低所得者が悲劇をみてきたが、今年以降は高所得者が、
地獄を経験する年になるだろう。



 ★シティアライアンス 代表兼 「ヒルザー・ドットコム」 運営者