米国債の保有高 日本と英国が増やし、中国とロシアが減らす。

2009年12月時点での各国による米国債保有高が発表された。
前月まで首位だった中国が342億ドルも減らし、日本にとって
代わり、2位にダウンした。
中国の場合、1年以内の短期国債保有しているので、そろそろ
今年の春にかけて保有を減らす準備をしていると思える。


そして日本は今回115億ドルも買い増しし、久々に首位に返り
咲いた。
英国も250億ドル程度も増やし、この増加率は日本を上回るほ
どの買い増し。
友好国とはいえ、欧州で最悪の不景気に見舞われている英国が、
これほどの買い増しをするとは意外だ。
何か隠し財産でもあるのでは. . . と疑ってしまう。
なにせ前年の12月と比べて、2.5倍も増やしているのだ。
まぎれもなく英国は、「金(ゴールド)」 の保有量では世界屈指。
さらにメキシコやルクセンブルク、香港も大きく買いました。
ブラジル、オーストラリア、台湾、シンガポールもやや増加。


一方で中国と同じく大きく減らしたのは、ロシア。
約100億ドル近くも売却した。
その他ではフランスが大幅に売却している。
インド、トルコ、イスラエルもやや売却した。


同月時点で世界の総保有高は、3兆6140億ドル。 
前月の11月と比較し、170億ドルも増加した。


そろそろ米国債バブルの崩壊が現実味を帯びてきた。
中国やロシア、さらに欧州の国々は耐えられなくなって、少し
ずつ売却を始めるだろう。
一方で資金に余裕がある日本は、亀井金融担当大臣の発言もあり、
当分の間、米国債の買い増しを続けるものと思える。
米国債は近い将来、リスク資産になるとはいえ、政治的なカード
という意味では保有していてもいい。
しかし経済という意味では、紛れもなくマイナスに転じる。


鳩山民主党はこういったことをきちんと天秤にかけるべきだ。
自民党時代なら官僚と組んで、日本は積極的に増やしていったが、
金融危機後の今、米国債は昔ほど誇れるものではない。
金利収入も以前ほど入ってこない。
私は個人的に、他国が大きく米国債を減らしても、日本だけが
買い支えるのではないかと心配している。
英国のほうは08年6月、一時的に全ての米国債を売却させた。
まさに血が吹き出すほどの痛みだったのだろう。
しかし今年はそういった2番底が必ずやって来る。
政治的には、日本より世界の情勢が注目される年になるだろう。



 ★シティアライアンス 代表兼 「ヒルザー・ドットコム」 運営者