ギリシャ経済危機 国家財政破綻へ ユーロ圏とIMFが神話を崩す

国際通貨基金(IMF)は、ユーロ圏主要各国と実施するギリシャ
への融資について、今月9日に理事会で審査すると発表。
融資が承認されれば、ギリシャ政府は300億ユーロの支援を
IMFから受けることになる。


さらにユーロ加盟国からの支援額は、3年間で1100億ユーロ。
約14兆円とする方向で最終調整している。
一国への支援総額としては過去最大で、97年に韓国を支援した
IMFの570億ドルをはるかに上回る規模だ。


5月4日(みどりの日)の米株式相場は急落。
NY証券取引所では全上場銘柄の8割超が下げる全面安になった。
輸出依存度の高い銘柄が売りに押された模様だ。


下げを加速させたのは、今回の欧州問題だけではない。
欧州連合(EU)とIMFが、ギリシャ支援で一応合意したが、信用
不安は他のユーロ加盟国に一段と飛び火を加速させている。
2日に中国が預金準備率引き上げを決定。これによって上海総合株
価指数は年初来安値を更新した。
4日はオーストラリア中央銀行が3か月連続の利上げを決めた。
株価というのは利益確定もそうだが、先々の材料を織り込んで動く
こともある。


財政懸念が欧州域内のPIIGSはもちろん、英国や東欧にも広が
りかねないとの懸念で、為替相場もユーロが一気に下落。
NY外国為替市場で一時、約1年ぶりに1ユーロ=1.30ドルの
を割り込んでしまった。
去年11月には、1ユーロ=1.50ドルまで堅調だったユーロが
ガタガタに陥った。


そしてこれを裏付けるように、NY原油先物価格は前日比3ドルを
超える下げを記録した。
一方で米長期金利は約2カ月ぶりの水準に低下している。
米国を含む世界経済はまだ脆く、財政拡大問題と金融引き締めが
与える影響への警戒感が売りを誘った。
米株式相場は回復の根拠がないまま上昇していたのは事実。


さらにまたしても市場の標的となっている国、スペインがIMF
融資を求めているとの市場の一部観測に対し、IMFの広報担当者
は、「そのようなうわさは、全く真実ではない」 とはっきり否定する
声明を発表。
単に憶測といった不安説も飛び火してしまうのである。


今はユーロの影に隠れてしまっているが、ドバイの返済問題も今月
に起こることを忘れてはいけない。
これによって莫大な貸付を行ってきた英国の銀行が、再び信用不
安を拡大させ、財政赤字が一層増えることになる。
為替相場もポンドが大幅に下落していくだろう。



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