ギリシャ経済破綻問題 ストライキとアイスランド火山再噴火で悪夢

先月、欧州や北米の空に、米国同時多発テロ時を上回る規模の混乱
をもたらしたアイスランドの火山灰。
乗客や航空会社の運命にかかわる問題だけに、慎重には慎重を期し
て、各国政府は思い切った空港の閉鎖を決断した。


だが今回はIATA(国際航空運送協会)が指摘するように、本当に
各国が協調して調査し対応していたのかというと疑問が残る。
欧州連合(EU)が加盟国による緊急電話会議を開いたのは、各国が
空港を閉鎖し始めた4月15日から4日後の19日だった。
やや対応が遅いと言わざるを得ないが、各国政府もあそこまで噴火
が長く続き、巨大になるとは思っていなかったに違いない。


空の混乱は、今では最大の悩みの種でもある 「ギリシャ」 にも暗
い影と闇を投げかけた。
金融支援策の協議のためにアテネ入りする予定だったIMFやEU
などの代表団が、大火山灰のためにギリシャに入ることができず、
協議が延期になってしまったのだ。
こういった悪運も手伝って、債権市場では金融支援への不透明感か
ら再びギリシャ国債が売り込まれるハメになった。


今回の火山灰とギリシャ支援をめぐる欧州の対応は、似ている点も
あるのだ。
ギリシャ問題について欧州は当初、「ユーロ圏全体の問題ではない」
と突き放した。
今回のギリシャ支援に最後まで抵抗したドイツのメルケル首相。
融資金利の水準をめぐっても最後まで同首相が抵抗したという。
フランスのサルコジ仏大統領、イタリアのベルルスコーニ首相と、
トリシェECB総裁が3人がかりで説得したことで、何とか支援策
をまとめたというのだ。
各国が選挙など国内事情を優先するため、なかなか欧州の足並み
がそろわなかったのだ。


IMFとユーロ主要国は自国の通貨を守るために、3年間で1100
億ユーロもの支援策を決定したが、実際問題、本当にこの額で足り
るのだろうか. . . という市場関係者が現れているのだ。
ギリシャ経済の規模を考えると、まさにとんでもない問題に発展し
ているわけだ。
つまり同国経済の、3分の1超が不良債権化してしまったと考えて
もいいかもしれない。


いうまでもないが、この問題は今後欧州各国に波及してくる。
ギリシャほど経済規模は大きくないが、ポルトガルも今年後半には
膿が出てくるだろう。
さらに世界第8位の経済を誇るスペインにも拡大する。
そしてPIIGS諸国ではないが、ベルギーの財政赤字もひどい。
その前には英国が自滅するだろう。
そして最後に残る米国が、2年後を目処に国家破綻を起こすのだ。
金融危機は過ぎ去った” と言ってきた人は、恥を知れ! と言いたい。



 ★シティアライアンス 代表兼 「ヒルザー・ドットコム」 運営者