スペイン経済危機と財政赤字 不動産バブル崩壊影響はユーロ離脱へ(

サッカーのW杯が行われる6月に入ったが、欧州諸国の経済危機を
深刻化させるユーロ売りや国債の売却、それからCDS買いの動き
は、今でも沈静化する気配が見えない。


ギリシャ金融危機財政赤字に対応する1100億ユーロの支援
が出され、さらに欧州諸国全体の危機に際して、先月最大7500億
ユーロの支援策も合意された。
しかし国際金融市場では、ユーロ圏内の債務問題を正確に出させるよ
うに、今度はポルトガルからスペインを狙い撃ちにする取引が続いて
いるようだ。


スペインの財政赤字は、不動産バブル崩壊の影響もあって日々拡大し
ており、今年はGDPの9.8%となり、公的債務残高に至っても、
GDP比で53%となる見通しだ。
同国は150億ユーロ規模の財政緊縮法案を僅か1票差で可決したが、
国民が素直に受け入れるかどうか、見通しは不透明である。


09年6月スペインはたばこ税やガソリンといった燃料税を引き上げた。
同国2位の銀行であるBBVA銀行は同年8月、米地銀ギャランティ
銀行を買収し、それなりの存在感を醸し出したのだが、それから1年後
の今、同国の地方銀行が公的管理下に置かれたり、複数の合併が進
んでいることから考えても、今後相当なダメージを被ると思われる。
為替市場も心理的な影響から、ユーロ安が一段と進んだ。


とにかく各国金融機関の貸出総額は、ギリシャ向けが約3000億ドル
に対し、スペイン向けは1兆1000億ドルと規模がやたら大きい。
まさに天と地ほどの差がある。
スペインの財政危機が今より一層高まり、同国債務の返済に懸念が生
じた場合は、ユーロ圏や世界経済全体に及ぼす影響は、極めて甚大な
ものになりそうだ。



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