スペイン経済危機と財政赤字 不動産バブル崩壊影響はユーロ離脱へ(2)

5月22日、スペインの中央銀行貯蓄銀行カハスールを公的管理
下に置いた。
5月28日、欧州を代表する格付け会社フィッチが同国の長期国債
をAAA から AA+ へと1段階引き下げた。


スペインでは今世紀に入ってユーロ通貨を導入したことで、不動産
ブームが到来し、2008年末まで最高潮に達した。
一般市民の居住用住宅や商業不動産ビルだけでなく、地中海沿いの
リゾート開発にも力を入れ、不動産市場はある種バブルの様相を呈
していた。


不動産価格の上昇率は、イギリス、アイルランドと共に毎年10%
以上の値上がりを続け、特にスペインではリーマンショック後も
しばらくの間は上昇していた。
イギリスやアイルランドでは、07年にはバブル崩壊の過程に入っ
たが、スペインにおいては、その後も約1年以上は上昇していたと
いうわけだ。


現在では一般居住用のみならず、リゾート物件に至っても不動産の
セット価格が設けられており、たとえば2軒住宅購入すれば、1軒
を無料にしたりとか、何とか購買意欲を駆り立てようとしている。


大手金融機関によれば、スペイン不動産会社の債務は4450億
ユーロ(約50兆円)と、同国GDPの45%にも上っている。

その大部分は先日公的管理に置かれた貯蓄銀行からの借入だという。
同国の不動産融資を後押ししたのが、国内に45行あるといわれる
貯蓄銀行である。
これは地域密着型業務を行う中堅の金融機関であり、貸出資産総額
は国内金融機関が貸し出した総額の約半分を占めている。


とにかく09年末時点で同国内の不動産市場には、92万戸以上も
の過剰な在庫があるといわれている。
これは好景気時に同国内で取引されてきた不動産市場の、約4年分
もの取引件数に相当するものだ。

これらの融資が今後も引き続き、どんどん焦げ付いていくだろう。


ギリシャポルトガルまでの財政危機ならまだいい。
しかしスペインまで及ぶと、その悪影響はユーロ圏や通貨に決定的
なダメージを与える。
世界8位の経済大国だからだ。


さらにそれで終わりにならないのが、今回のユーロ危機なのである。
ユーロの代表国である、イタリアやフランスまで影響が及ぶだろう。
もちろんその前に、東欧諸国がデフォルトする運命にある。
そして最後の最後にドイツが悲劇を迎えることになるのである。



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