ストレステスト アイルランドは積極的、ドイツとフランスは消極的。

欧州も去年5月に行った米国に倣って、公式な銀行のストレステスト
を行うべきなのだろうか? 
これが今、世界の市場を悩ませている問題のひとつだ。


「ストレステスト」 とは、金融市場において不測の事態が生じた場合
に備え、損失の程度や回避策を予めシミュレーションしておくリスク
管理手法をいいます。
ユーロ圏の大手銀行は、金融危機後の2年間の資本増強が、米国の
銀行よりはるかに少なかったこともあって、そういった理由から少な
すぎるという懸念に至っているわけです。
そこでストレステストに関する議論が浮上しているわけだ。


実際イタリア中央銀行の総裁は、ストレステストを断行し、結果を
公表することを決めた米国政府の判断は、市場にも銀行自身にも非常
に有益な成果をもたらした. . . と述べ、ストレステストを支持した。
先日はオーストリア政府も、銀行業界全体の分析に限定される場合
だけストレステストを支持すると明言している。


こういったことから米国は執拗に、なぜ欧州はストレステストをしない
のかと苛立っている。
問題が多く、且つ巨額なことは明白なのに、ヨーロッパ人にはどうし
ても分からないようだと、ある米国政府の高官は語っている。


現在ユーロ圏の中で唯一米国流のストレステストを支持し、しかも
自国で実施に踏み切った国は、アイルランドだけだ。
一方でドイツやフランスといった欧州の大国は、なかなか踏み切ろ
うとしない。
それはなぜか? 理由は2つ考えられる。
ドイツ人とフランス人は、米国人に説教されることを嫌がる。
そもそも昨今の金融危機を引き起こした犯人は、米国だと考えてい
るため、一層米国人には圧力をかけられたくないと考えている。


それから現実的な問題として、ストレステストの公表結果、銀行が
巨額な資本不足に陥っていることが露呈し、しかも不足分を埋めるた
めの解決策がないことが判明した場合、市場の混乱を招くと恐れてい
ることだ。


しかしここで是非覚えておいて欲しい。
今回の金融危機で最初にストレステストを行った米国でさえ、第三者
機関に委ねていなかったこと
については知らない人が多いだろう。
つまり自社の人間だけで内密に行ってきたということだ。
ドイツ人やフランス人は、米国手法のインチキストレステストを重々
承知している。
この点について欧州のメディアは、当時どのような伝え方をしたかは
わからないが、少なくとも我が国日本では真実を全く報道していない。


ユーロ圏をはじめとしたEU諸国が今後浮くのも沈むのも、それらの
国やECB次第だが、少なくともこういった危機を世界に拡大させた
張本人は米国というアングロサクソン民族であることは間違いない。



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