ドイツ経済成長 景気対策も効かず指標も悪化、戦後最悪の統計数字

ドイツの欧州経済研究所センターによると、6月の同国景況感指数は
大幅に悪化した。
ユーロ圏やEU諸国のソブリン危機が、ドイツの輸出見通しを損ない、
景気の足かせになるとの懸念が強まったことだ。


15日発表した今月の期待指数はナント28.7。
5月の45.8から一気に急落したことになる。
これはリーマンショックが起きた08年10月以来最大の落ち込みと
なったという。
大手エコノミスト35人の調査では42.0が見込まれていた。
期待指数とは、向こう6カ月の見通しを示す指標である。


ドイツのGDP成長率は好景気時には、欧州を中心に順調に輸出を伸
ばし、それに伴って景気拡大が続いた。
2006年の成長率は3.2%。
07年は日本の消費税に当たる付加価値税を16%から19%に引き
上げたが、それでも2.5%成長を達成した。
さすがに08年には1.3%まで下落したが、ユーロ高やドイツ経済
自体の大きさから考えると、決して低い数字ではない。


しかし09年の経済成長率は、マイナス5.0%と発表。
輸出の大幅な落ち込みが影響し、戦後最大の減少幅となった。
同年1月には同国大手の半導体メーカーであるキマンダが倒産。
これにより約1万人が失業した。取引先を含めるとこの数倍の雇用が
失われただろう。


その後は同国航空会社のルフトハンザが、オーストリア航空を買収。
そして米国GMが傘下のオペル売却を取りやめたりと、一時期は明る
い話題が戻った。
ところがそれも長くは続かなかった。
09年トータルのドイツの輸出が、前年比で2割近くも減少。
東西ドイツが統一された90年以降で最大の落ち込みとなったのだ。
これにより同年、輸出世界一の座を中国に明け渡すことになった。


ドイツやフランスは、今回欧州を震え上がらせたギリシャ国債を山ほ
保有している。
何とドイツ国債自体も、海外からの買い手が6割にも上るのだ。
ギリシャ国債ポルトガル国債は、約8割が海外からの買い手。
ちなみにイタリア国債も海外依存が5割近い。
我が国日本がたった6%と比べると、驚くほどの海外依存症である。


急速に悪化している欧州経済。
ドイツが超えなければならない壁は、間もなくぶち当たるだろう。
今年後半から来年春までが、最大の正念場を迎えることになる。



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