中国 外貨準備を使い、日本国債への投資を活発化へ 短期国債中心

中国が最近になって日本国債への投資を拡大し始めた模様だ。
期間1年以内の短期国債を中心に買越額が急増しているのだ。
今年1〜4月だけで累計額が5410億円に達した。


中国の日本国債投資の拡大は、欧州ギリシャ金融危機に対する
市場の不安が高まった時期と重なっている。
中国政府当局が、毎年膨らみ続ける外貨準備の運用先を日本国債
にも広げているということだ。
もともと外国人保有率が極端に低い日本の国債の中で、中国マネー
の存在感が今後一層高まりそうだ。


日本国債の外国人保有率は今年3月末で、わずか3.6%。
金額では31兆円程度と他の主要国に比べて非常に低い。

今後中国による日本国債への投資が数千億円単位で増え続ければ、
国債の安定消化の追い風となり、金利上昇を抑え続ける効果がある。
最近日本国債金利が一層低下しているが、そういった背景には
中国の購入増加があるものとみられる。


国内投資家による日本国債保有割合は、金融危機前の08年秋に
は92%台であった。
長期金利もちょうどこの頃1.6%に達し、金利の上昇から危機感が
少しずつ出始めた。
しかしリーマンショック後は、予想通り海外の投資家が一定の日本
国債を売却したが、国内の投資家が次第に買い増し始めた。
そしてイランをはじめとした中東諸国や中国、ロシアからの買い増し
も始まった。


現在日本国債長期金利は6年10ヶ月ぶりとなる低水準で、
わずか1.1%前後に低下した。価格は上昇したということだ。
 


最後に中国の外貨準備が2兆ドルを上回り、日本を抜いて世界1位
にのし上がったという報道が数年前からよく流されている。
日本の1兆ドルと比べれば、まさに倍、もしくはそれ以上の保有
あることから、経済的にも中国脅威論を高める指標となっている。
しかしここで誤解を解いておかなければならないが、中国の外貨準
備高は、あくまで政府(中国共産党)の保有額だけの話だ。


中国民間企業の保有は1兆ドル程度。
つまり民間企業を含めると、合計で約3兆ドルだ。
これに対して日本の民間企業が保有する外貨は、ナント4兆ドルも
あるという。
政府保有の1兆ドルを合計すれば、約5兆ドルにも上る。

これからは欧米の金融・財政危機で、こういった外貨指標が急に変
わってくるとは思うが、それでもいかに日本の経済事情が底固いも
のかがおわかりだろう。


しかし今後は米ドルの凋落や米国債バブル崩壊が起こる中、大切
な資産を分散(ポートフォリオ)させることが必要だ。
手遅れにならないよう、金(ゴールド)やレアメタルといった天然資源、
さらに日本企業が得意としている環境ビジネスなどに、官民が一体
となって投資することも重要になってくる。



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