米国(アメリカ) 不動産価格の下落が止まらない。恐慌はまだ入り口

米国の雇用情勢回復に、いよいよ足踏み感が強まってきた。
上場している大企業収益そのものは復調傾向だが、統計上の失業率
は9.5%と依然高止まり状態で、全く改善の兆しも無い。
失業給付金の期限切れで、仕事はおろか住む家も無くしている人が
どんどん増えている。


先日は発表された4〜6月の実質経済成長率は前期比年率で2.4%。
1〜3月の3.7%から大幅に鈍化してしまった。
雇用創出の大半を生みだす中小企業も、銀行に担保している不動産
の価格下落の影響から、融資を渋るケースが今でも続いている。
公的部門においても、財政難によって学校教員の削減などに動いて
いて、このことも失業率が高止まりする一因になっている。


ここでハッキリ言おう。
米国の大企業は2年前の金融危機以来、人員削減やこれによる株価
の上昇で収益を伸ばしているが、土地や住宅といった不動産価格は
今でも下がり続けているのだ。

米国の新規住宅販売戸数は05年に128万戸も売れたが、
09年にはたったの37万戸まで減少してしまった。
最悪年だった83年の販売戸数より少ない。


ケース・シラー指数という訳のわからない名前の住宅指数は、去年の
春から若干改善を見せていたもの、今年の1月から再び下げている。
同じく商業用不動産指数も、去年秋から少しずつ明るさを戻していた
が、早くも今春から下げ基調である。
覚えているだろうか? この頃は円がジワジワ下落し、1ドル90円前半
まで安くなった。


そもそも住宅バブルの崩壊が、金融危機の始まりだったことを忘れ
てはいけない。
不動産という最も高額で大切な資産価格が回復せずに下落してい
るということは、危機は更に深まっているということだ。

今年後半から再び訪れる危機も、やはり住宅ローン危機だろう。
地方銀行も去年の1.9倍のペースで破綻している。
すでに今年だけで109行が閉鎖された。
いよいよ9月に入ると急激に破綻件数が増加するだろう。


ちょうどこの頃、円高がさらに加速し始め、1ドル80円を目指すこと
になる。
電気やガス、資源などを取り扱っている総合商社、そして旅行業者
などは嬉しい悲鳴を上げ、一方で輸出企業は収益が圧迫される。
ホンダは1ドル80円ちょうどでも黒字を維持できると発表している
が、トヨタや日産などはまだまだ厳しいのではないか。
原材料の輸入で浮いた価格分だけ本体価格に還元しないと、いくら
最高の技術と環境を謳っても、消費まで結びつかないだろう。



 ★シティアライアンス 代表兼 「ヒルザー・ドットコム」 運営者