中国人民元問題 急激な切り上げは、経済の悪化と内乱問題に発展(1)

今に始まったことではないが、米国が中国に対し通貨人民元の切
り上げを迫っている。
ここへきてこれまで以上の強い調子で攻撃しているのだ。


中国側はこれまでも、1985年のプラザ合意で円が急激に上昇し
たことを引き合いに出し、
“ 我々は日本とは違う。これは中国の問題であり、外国からとや
かく言われる筋合いはない。 ”
と態度は一辺倒、全く聞く耳をもたないでいる。


もちろん米国政府は上下院ともに怒りまくった。
上院議員は30%程度の切り上げを要求し、もし受け入れなけれ
ば、中国製品全てに27.5%の報復関税をかけると通告した。
IMFも、人民元は2割以上の過小評価というレポートを提出。
某下院議員も、我慢の限界を表明している。


ついに今月14日、米商務省が国内鉄鋼メーカーのUSスチール等
の訴えを受け、中国製シームレス鋼管に高率関税を課す決定をした。
天津鋼管集団など中国国営企業に適用されることになった。
課税規模は最大98.74%の反ダンピング(不当廉売関税)措置。
それだけではない。
これら鋼管メーカーが中国で受け取っている補助金の影響をなくす
ために、最大53.65%の相殺関税も導入するとした。


中国国内の価格影響は以前から現れている。
同国内の鋼材価格が7週間連続で下落していた。
製造業の景況感指数も3カ月ぶりに悪化し、在庫は積みあがる一方
で、今でもなかなか減らないのだ。
中国の輸出企業は急激に採算が悪化していることは事実である。


人民元が高くなると、中国製品国際競争力は弱まって輸出が減る。
日本製品といった高付加価値製品を作り出すことはできないので、
日本のように為替差損だけ上乗せができることなんて不可能。
何しろ日本の先端企業は、日本でしか作れないハイテク製品を多く
輸出しているし、輸出企業の4割は 「円建て」 で取引している。
おまけにエコカーについても、トヨタやホンダの車は、グローバル・
スタンダードというお墨付きを国連から授かっているので、輸出にお
いても急激な減少は受けない。


では具体的な中国製品についてはどうか。
衣類といったニット製品の最大輸出国は、いうまでもなく中国であ
るが、第2位にトルコ、第3位にバングラデシュが迫っている。
人民元が切り上がれば、欧米や日本といったお得意様はこういった
国に輸入をシフトさせていく羽目になるのだ。


中国としては考えたくもないが、人民元切り上げは国内の雇用だ
けでなく、内乱要素にもつながってしまうのも事実。
温家宝首相が国連で述べている通り、雇用問題は即、デモといっ
た内乱や犯罪につながるからである。
実はここに中国軍事費増大の意図が隠されているのだ。



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