中国 ギリシャ国債の買い増し意図は、輸出の拡大を狙ったもの

中国の温家宝首相はASEM首脳会議に先立ち、経済・財政危機の
ギリシャ国債の買い増しを表明するなど、積極的な姿勢を示した。


政府保有では世界最大の外貨準備を誇り、欧州諸国との関係強化
を示したものだ。 (民間を含めると日本が最大の外貨準備国)
これは人民元の切り上げ圧力を迫る米国や、尖閣諸島問題で対立
する日本を牽制する狙いがあると思える。


それにしてもまだ決定はしていないが、中国とはいえ、紙屑同様であ
り続けるギリシャ国債を買い支えるなんて無謀にもほどがある。
将来的にもギリシャ国債が価値が全くなり、今後デフォルトが起きる
ことは、小学生でもわかるし、ギリシャ政府や同国首相だって例外で
はない。
もちろん中国の首脳も馬鹿ではないから、こんなことぐらい理解でき
ている。


これはまさしく政治的な賭けだろう。
ギリシャ国債を買い支えれば、通貨ユーロが上昇し、中国側にとって
輸出が促進する。
中国にとって最大の輸出国は米国であるが、地域別でいえば欧州
なのである。
そして財政危機を助けることで、欧州諸国との関係を一段と強化でき
るという魂胆だ。

もしギリシャが旧通貨ドラクマのままだったら、発想自体あり得ない
ことだ。


しかしギリシャは、中国の表明にすんなり応じるかどうかは疑問。
ギリシャが今年1月、財政危機回避のため250億ユーロもの国債
購入を中国に打診した時、中国は見返りに同国の銀行株を要求した。
これによって国債購入は白紙になったというのだ。
つまり今回ギリシャ国債買い増しの交換条件として、何らかの要求
を突き付ける可能性が高い。
往生際が悪いとはこのことだろう。
両国の首脳会談中や会談後も、パパンドレウ首相には笑顔はみられ
なかった。 中国の裏の意図が読めていたのだろう。


日本人の中には、“中国はしたたか” などと感心する人もいるが、
とんでもない思い違いである。
独裁政権だからこそ、意思政策決定にスピードがあるし、言いたい
放題できるのだ。
日本のTVや新聞の暴走発言に乗ってはいけない。



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