原子力発電(原発)受注競争 今年は日本に追い風がやってくる!!(1)

去年から国内の原子力発電業界に嬉しい話題が沸き起こっている。
世界各国から、日本の原子力を導入したいという申し出が増加して
いるのだ。
いくつかの国は決定しているが、その前提となる原子力協定の署名
についても日本との間で行われ始めたことが大きい。

2010年4月には中東ヨルダンのアブドラ国王が来日して、当時の
鳩山首相は、原発に必要な原子力協定の締結と原発購買を要請し
たのだ。
日本は同国王が訪日する前から水面下で交渉を進めてきた。
ヨルダンの原発交渉は、UAE(アラブ首長国連邦)の次に中東諸国
で狙っていたもので、日本側の受注に近ずいてきたものといえる。
ちなみにUAEは09年末に韓国が受注している。


また同じく中東最大の国サウジアラビアでも、日本との原子力推進
に向けて両国が協力することで一致した。
サウジでの人材育成支援についても日本側が協力する用意がある
とし、原子力協力文書を早期に締結することを提案した。
その結果同国担当総裁は、“喜んでそうしたい” と述べたという。


また去年秋から、トルコが日本の原発を導入する可能性が高まった。
同国のエネルギー天然資源相は去年12月24日、大畑経済産業相
と東京で会談し、黒海沿岸の都市に計画中の原子力発電所の建設
協力に向けた了解覚書に署名。
それまでも韓国やフランスとも協議を重ねていたが、ここへきて日本
一本に絞り込んだ模様だ。
トルコはいわずと知れた地震大国。
経験と実績を重ねてきた地震大国の日本原発技術に、軍配が上が
ったということだろう。
まだ決定はしていないが見通しは非常に明るい。


これまでにもベトナムが、第2期分の原子炉2基を日本が受注してい
ることはご存じの通り。
日本円でせいぜい1兆円規模の工事だが、ベトナムは2030年まで
に計14基もの原発建設を計画していることから、今後も裾野は拡大
していくと思われれる。
ベトナム国内の実績によっては、日本の再受注にもつながっていく
だろう。
締結した同日の2010年10月31日には、レアアースについても
共同開発することで合意した。
両国は政治・外交だけでなく、防衛を含む戦略的パートナーシップ
の対話も進めている。


欧州でも日本の原発に興味を持っている国が多い。
三菱重工は2010年6月、スペインのイベリンコ社と協力すること
で合意し、覚書を締結した。
電力産業向けエンジニアリング企業としては世界第2位という同社
と協力関係を結ぶことで、環境意識の高い欧州での受注に弾みを
つけたいところだ。


さらにロシアも今月8日、メドベージェフ大統領が日露原子力協定
の批准法案に署名し、ロシア側の批准手続きを終えたという報道
が飛び込んできた。
もちろん日本でも批准されれば発行されるが、日本は両国間の政
治的な問題からロシアとの発行には慎重を期している。


1986年に起こったチェルノブイリ原発事故以来、欧米諸国は原子
力発電のビジネスを縮小させていった。
それまでは特に欧州のプラントメーカーをはじめとした原発産業が
華やかな時代を迎えていたが、今ではフランスのアレバ社以外は、
欧州では盛んに進められていない。
そのアレバ社も2001年に、ドイツのシーメンス原子力部門を買収し
たが、やはり単独では生き残れないため、数年後には日本の三菱
重工と提携関係を結んでいる。


国同士での締結以前に、プラントやその下請け会社などとの協力関
係を含めれば、日本の原子力発電企業の将来は他国を圧倒している。
それにしてもなぜ日本の原発産業が各国で引っ張りだこなのか?
国策と技術的な優位さが、世界的な環境意識の高まりの中で注目
されていることは間違いない。
具体的な理由を次回のブログで掲載してみる。



 ★シティアライアンス 代表兼 「ヒルザー・ドットコム」 運営者