民主党内閣改造 菅直人首相は消費税の引き上げを断行するのか?

菅首相通常国会の乗り切りに向けて、内閣改造を14日に行う。
首相は今回、たちあがれ日本を離党した与謝野馨財務相について、
「財政健全化や社会保障制度の在り方に関し、民主党の考え方との
共通性が高い」と言い、財政再建関連の要職に起用することを決定。


また仙石官房長官、馬淵国土交通相を交代させることも決めた。
官邸のスポークスマンには、枝野幸男氏の起用が有力だという。
このたび与謝野氏の内閣起用について、消費税増税路線に傾いた
という声が大きく、菅首相は次回の総選挙に向けて、本格的な消費
増税に走るかもしれない。


現実に目を向ければ、日本の消費税は世界的にみて少ない。
消費税は世界145カ国で実施されているが、日本と同じ5%の国は、
カナダ、台湾、パナマ、ナイジェリアだけ。
他に一桁の消費税は、タイとシンガポールが7%で、その他残りの
国は皆10%を超えている。
ちなみにアジア最高の消費税額はトルコの18%。
それに中国、イスラエルと続く。
世界トップの国はアイスランドが25.5%。
次にスウェーデンデンマークノルウェーハンガリーが25%であ
る。
これだけみれば、日本はまだまだ増税の余地がありそうだ。


しかしこれは日本経済にとって非常に危惧されることでもある。
増税は国の歳入を増やすことは確かだが、GDP全体の6割を占め
個人消費を一層収縮させていくことは間違いない。
確かに国の財布は厳しいものがある。
今後はTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)によって、関税収入
が入りにくくなることや、高齢化に向けての社会保障でも、財源が
少なくなることから増税が必要だと言っているのだ。


とにかく消費税をいきなりニ桁に乗せることはないだろうが、消費に
直結する増税をするのなら、規制緩和を思い切って実施するべきで
あろう。
これについては数えきれない規制が存在するから、ここでひとつひ
とつ紹介するのは控えたい。
しかし今後の国の在り方としては、「地方分権」 を一層進めること
も大きな意味を持つ。


もうかなり前から言われてきたことだが、
“日本は中央集権国家だから、官僚が強く、改革ができない”
というものだ。
つまり地方が独自の政策をしようとしても、カネが乏しいから、
結局は何がしかの運営費を捻出するため、国に陳情を申し出てく
るというものだ。
こういった直接的ともいえるし、間接的ともいえる慣習がいまでも
続いていることから、中央集権国家だと認識している人が多い。


しかし日本は過去54年間、自民党政権が続いてきたが、それは
少なくとも民意を反映してきた。
一部政治的な陰謀が働いていたことは事実だが、間違いなく4年
に1回の総選挙を行ってきたの。
この辺が中国やロシア、その他のCISやアフリカ、一部の東欧州
といった独裁国家とは違う。
(ただし中国の場合は、共産党員が地方に多く存在していることか
ら、決して中央集権国家ではない)


では本当に日本は中央集権国家なのだろうか?
確かに日本は政府に多くの財源がある。 よって政府によるコントロ
ールも強いだろう。
しかし当然上記の発展途上国ほどではないが、他の先進国と比較
しても、飛びぬけて中央集権的ではないのだ。
たとえば英国の地方自治は盛んだといわれているが、実際のところ
は、公共サービスのほとんどが中央政府から受けているのだ。


英国は交付金だけで38%に達しており、フランスも22%にまで達
している。
ちなみに日本の交付金は18%ほどである。
反対にドイツが7%といったところで、かなりの分権国家といえるだ
ろう。 スウェーデンも5%を切っている。
しかしこれらの国は、豊かな県や州が貧しい地域を支える仕組みに
なっているので、昔から何かと議論が絶えない状況だ。
つまり豊かな地方ほど不満を抱えているのである。
そんな英国に菅首相は野党時代や総理になる前、一体何を勉強し
てきたというのだろう??


またここ2〜3年は、「道州制」 についても叫ばれている。
東京に一極集中させることより、権限を大きなパイで分けていくほう
が、中央政府の干渉を受けることなく独自路線を進めていけるから
だという。
これれはいわずと知れた米国型である。
もちろん良いことも多いだろうが、経済的・政治的以外にも負の面に
ついても存在するような気がする。
昔ほどではないが、極東アジアには軍事的な緊張も残っていること
から、いざ有事が発生すれば一致団結して日本を守れないかもしれ
ないということだ。
つまり素早い対応ができなくなる惧れがある。


しかし余談になってしまったが、ここは一か八かでも構わない。
消費税以外の改革はどんどん断行してもらいたいと思う。
事業仕分けについてもパフォーマンスと揶揄されているが、無駄に
復活している特殊法人については、今後も厳しくチェックしていくべ
きである。
これについては誰も異論を唱えないだろう。
思ったほど無駄が削減できなくても、やらない・やろうともしない前
政権よりはマシなのだから。



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