FTA(自由貿易協定) 日本はインドとの協定調印が決定へ

インドの担当相は、日本とマレーシアとのFTA(自由貿易協定)を確定し
たことを明らかにし、2月に調印を行う見通しを示したという。
これで日本は、先に調印している韓国と対等にインドという巨大市場
で競い合うことになる。


自由貿易協定には経済的な利益だけでなく、政治的にも利益が期待さ
れている。
貿易の促進拡大によって、両国間における投資拡大効果が期待される。
そして国内経済の活性化や、地域全体における効率的な産業の再配
置が行われ、生産性向上も期待されるだろう。


一方でデメリットも憂慮されている。
つまり競争力を持たない企業は大打撃を受ける可能性が高い。
またこのことから日本の農業(農家)が狙い撃ちされることだ。
日本の農産物は世界的にみて質が良く、ブランド品も数多くある。
「和牛(WAGYU)」 はすでに世界で認知度が高く、豪州でも生産されて
おり、中国や香港、シンガポールでもその名前を使って輸出されている。


もちろん肉類だけでなく、米や果物などもアジアでは大人気である。
2009年の情報だが、ロシアでは福岡産のイチゴ 「あまおう」 が、
何と一パック7千円前後で売られていたというし、中東ドバイでは
鳥取産のスイカが、一玉3万円で市場に出ていたという。

こういった国内農家が一層縮小してしまう惧れがあるのだ。
海外への輸出増ということでは嬉しいことだが、国内市場では消えて
しまうことも考えられる。


日本政府はこういった点を憂慮し、一部小国に対しては次から次へと
調印してきたのだが、大国までは積極的に拡大を図ろうとしなかった。
昨日のブログでも書いたとおり、関税のほとんどが段階的に撤廃され、
財源が少なくなることも、やはり大きな要素だっただろう。
また日本は何かと隣国韓国との競争力に差が出るから、早めの調印を
奨めなければいけないという経済論者がいるが、単純に日本と韓国を
比較してはいけない。


なぜなら韓国は外需を活性化させないと生き残れないのに対し、
日本は内需国家だから、それほど貿易に頼っていないからだ。
だから韓国は昔から対外貿易に必死なのである。


最終消費財についても、日本製の部品は各分野で必要不可欠だ。
しかし韓国独自の部品は全く弱いとしかいいようがない。
日本やドイツのように中小零細企業が少ないし、育たないし、競争力も
ない。
だから韓国の下請けは日本の中小企業が支えているといって過言では
ないからだ。
つまり韓国が世界各国で売ってくれれば、その分日本企業が自ずと儲
かる仕組みになっている。
日本政府はこの点をよく知っているから、なかなか韓国ほど積極的に
FTAを締結しようとしないのだ。


しかしインドという12億の人口を抱える国を無視してはいけない。
いち早く進出したスズキは自動車として、もはやインド人の日常生活と
完全に密着している。
この国は早めに進出した国が半永久的に市場を勝ち取れる。
そういう文化を持つ国だ。
一度根付いた生活品は、頻繁に変えるようなことはしないのだ。
また同国は日本が生産できない農産物(コーヒー、綿花)が多いので、
安く買えることは大きな意味があるだろう。
こういった政策については再出発した菅内閣に期待したい。



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