EU(ヨーロッパ)財政赤字 大きな政府・高い消費税で削減困難(1)

先日EUの関係筋によれば、欧州はユーロ圏の債務危機を回避す
るため、予定より早く、3月上旬に緊急サミットを開催する可能性が
あると明らかにした。


一見去年のような危機は過ぎ去ったようにみえる。
しかしこれは一時的な楽観に包まれているだけで、今年はユーロ圏
国債償還が本格化することが、緊急開催の主な理由だという。
欧州金融安定化ファシリティー(EFSF)の資金規模拡大に向けて、
対応が必要だと語った。


しかし2月4日にはEUの臨時首脳会議が開催される。
ここでEFSFの規模拡大について、話し合いが進められることが
すでに予定されているし、3月下旬には欧州版IMFの創設がほぼ
確定されている。
一体全体、これ以外に何を具体的に話し合おうとするのか?
そもそもEFSFは、欧州版IMFにとって代わられるのだ。
また一部では、ギリシャの融資期限を現状の3年から30年に延長
する提案も出ている。
だが期限切れ直前ならまだしも、今時点で話し合うのは時期早尚
だろう。


やはり緊急的な対応策として、4月以降PIIGS諸国の国債償還が
やってくることだ。
ポルトガルは6月までに95億ユーロの償還を迎える。
しかし同国経済はギリシャより小さい為、欧州全体に拡大するよう
な被害は起こらない。
やはり問題はスペインとイタリアが今年後半から危機が深刻化する
ことだろう。
スペインに続いてイタリアに危機が波及すると、現行の枠組みであ
る緊急融資枠7500億ユーロを超えてしまうという。
これによって現在支援を受けている国、つまりギリシャやアイルラン
ドがデフォルトに陥ってしまうからだ。
こういった悪循環の発生が第2の懸念材料だといえる。


また日本と同じく毎年3月に会計年度を迎える英国が、一層の悪材
料として出て来る可能性がある。
英国はユーロ圏に属していないが、経済指標によっては欧州に貸し
出している資金を一気に引き上げることだってあるのだ。
またそれ以上に大きな問題としては、やはりここでも米国だ。
米国にとって毎年3月は、9月に次ぐ重要な四半期決算である。
金融危機後08年3月にベア・スターンズの破綻、そして09年3月
にはシティ・グループの公的資金注入が実施された。
つまりシティは実質国有化されたのである。
つまりこういった欧州域外の事情についても、緊急を要していると考
えたのだろう。


昨日のブログでも書いた通り、米国債の上限問題も早ければ3月中
に大爆発を引き起こすかもしれない。
とにかく根本的な問題は、欧州各国の財源が日本以上に無いという
点が大きい。
欧州の消費税がズバ抜けて高いことは今更いうまでもないが、消費
税以外についても、政府支出の規模が大きいので、問題解決を一層
困難としている。
次回具体的にみていきたい。



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