英国(イギリス)経済危機 RBS、ロイズのリストラは2万7千人に

英国経済がここへきて再び厳しさを増している。
ユーロ圏や米国もそうだが、英国も勝るとも劣らず衰退してきている。


金融危機後、株価が実に98%も下落し、国有化されてしまった世界
的な銀行 RBS(ロイヤル・バンク・オブ・スコットランド)である。
スコットランド銀行とともに、ポンド紙幣発行の権限を持つ同銀行は、
1ポンドから100ポンドまで6種類の紙幣を発行している。
かつては安田火災海上保険と損害保険分野で合弁していたが、04
年には事業を売却し、解消している。


07年に起こった米国発の金融危機後は、まさにリストラの嵐である。
最近では2009年4月に従業員の2割に当たる9千名を削減。
当時発表された赤字額は、その頃の為替で換算して3兆3700億円。
国史上最悪の赤字企業となった。
それまで国内最大の赤字企業であった 「ボーダフォングループ」 の
2兆1000億円を遥かに凌ぐ規模になったのだ。


その後もリストラの手は緩めることなく、2010年5月に保険部門か
ら2600人を削減、そして早くも翌月6月に富裕層の資産管理部門
から500人を削減、
そして最近では同年9月に店舗売却によって3500人をリストラした。
RBSは世界的金融危機後、実に2万7千人の人員削減に踏み切っ
たのである。


さらに英国では保険分野で世界的な 「ロイズ」 という会社ある。
こちらのリストラも激しい。
金融危機後はリストラを重ねても損失がどんどん計上された。
ついに2009年3月、政府が株式の6割を保有して国有化された。
その後も同年7月2日、2100人をリストラ。
そしてすぐに7月20日には、保険部門とバックオフィスの従業員を
1200人削減。
さらに同年11月には5千人を大規模リストラ。


嵐はまだまだ収まらない。
翌2010年1月にはコールセンター部門から585人を削減。
そして同年7月には再び保険部門とバックオフィス部門から650人を
削減した。
さらにさらに、10月には正社員と契約社員を合わせて4500人もの
人員削減に踏み切った。
そしてつい今月3月21日、570名の追加リストラを発表した。
これでRBSと同様2万7千人を削減したことになった。
これは血が滲むといった表現どころではない。
まさに血が噴き出すほどの痛みだろう。


英国の財政赤字は今年が正念場。
国債も海外依存が高いため、国債の償還などを含め、今年の返済額
は去年の2倍に上る予定だ。
GDPの4年分の対外債務を抱え、すでに政府が金融機関に拠出し
た金額は200兆円近い。
これは英国自身のGDP1年分に相当する。

市場の信認をなくせば、あっという間に売りたたかれてしまうだろう。
ホントどうするつもりか?


今では “ 大きすぎて潰せない(too big to fail) ”
から、もう一段表現を加えて、
“ 複雑に絡んでいて潰せない(too interconnected to fail) ”
という表現や関係になってしまっている。
これはもう間違いない。


世界的なペテン格付け会社が、最上位格付け(トリプルA)を維持しよ
うとしているのは、これで何となく納得できるだろう。
単純にいえば、実態を反映していない政治的な絡みと、格下げした時
の世界的な負の波及を恐れるからである。
しかしこういった陰謀・エセ行為は、世界中の金融機関で働く従業員
や、各国の政治家、エコノミスト、投資家などは皆知っている。


そして当然のことながら、マスコミの人間達も重々知っている。
つまり意図的に報道せず、現実的に暴落するまで報道しないのである。
最悪の事態になって、やっと格下げする格付け会社と同じで、モラル・
ハザードを引き起こすのはマスコミだって同じなのだ。
こういった企業に大きな利権が絡んでいるのが、悔しくてたまらない。



 ★シティアライアンス 代表兼 「ヒルザー・ドットコム」 運営者