欧州(ユーロ圏)経済危機 ドイツ、フランスの国債利回りが再上昇

日本の震災後、円高を阻止するために協調介入したが、ユーロ高も手伝
って、ユーロ圏の2年物、5年物国債の利回りは一時的に下落に転じた。
しかし一昨日頃から再び急上昇してきている。


日本や米国、オセアニア、アジア新興諸国の国債利回りが下落を続けて
いるのに対し、欧州では英国以外の国は上昇してきているのだ。
しかもユーロ圏の2大国であるドイツとフランス国債も利回りが上昇。
すでにこれらの国も、去年5月のギリシャショックを上回る利回りに達して
いるから、今後の動向に注目である。


PIIGS諸国はいうまでもない。
ギリシャ10年物国債の利回りは12%台。
一時は13%に届いたが、ここへきて再び上昇してきている。
ポルトガルの同債は7.5%台。
こちらは今年1月下旬から右肩上がりである。
そしてアイルランドも10%台だ。
アイルランドの場合は今月3月に入って、一方的に上昇している。


ポルトガルもそうだが、同国と並行してしばらく問題になってきそうなのが
アイルランドである。
2010年末、ペテン格付け会社ムーディーズが、5段階も引き下げた。
これによって国債利回りが急上昇したのだが、この影響をモロに受けた
のが、何を隠そう英国であった。
アイルランドが海外から融資を受けている額は7311億ドル。
このうち約2割が英国からだった。
その英国に次ぐ融資受け入れ国がドイツだ。


経済力のあるドイツやフランスが、こういった国に振り回されているのが
わかるだろう。
しかしこれはある意味で自業自得といえる。
金融危機前、莫大なマネーをPIIGSに投資していたのだから。
笑うのも自分。泣くのも自分である。
投資や投機は自己責任の世界である。
ただ問題は自分たちだけでは済まない場合である。


冷静に考えれば、経済力のあるドイツとPIIGS諸国がユーロ圏という、
一つの経済圏、及び通貨でいるのが何とも不思議なくらいだ。
齟齬が発生してくるのは当然だろう。
せっかく日本と同じような工業力を持ち合わせていながら、他人の尻拭
いを周辺国以上に廻されてしまう。
しかしそのドイツでも、最近は自動車工業の分野でも大きく遅れを取っ
てしまった。
伝統的に英国もドイツもイタリアも、マニュアルエンジンについては、
ブランド名なども功を奏して、長年競争力を維持できていた。
しかしハイブリッドやEVになると急速に衰えてしまったのだ。


国民投票でユーロ加盟に否決したスウェーデンデンマークは、賢かっ
たといえる。
しかしその北欧4カ国の国債利回りも上昇してきた。
道ずれにされないことを願うばかりだ。



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