スペイン経済 住宅価格下落と高い失業率で、今年は最大の試練へ

スペイン国家統計局発表によれば、今年第1・四半期に確認された企業倒産、
個人破産の件数は1803件に上ったと発表。
この数字は、同国統計局が2005年に統計を取り始めて以来の最高値で、
昨年の同時期と比べ5.9%の増加となったという。


今回に次いで多かったのは2009年の第2・四半期で1762件。
世界的金融危機が表面化する以前は、3ヶ月間の平均が約250件であった
ことからみても、スペイン経済が苦しんでいるのが判る。


スペイン中央銀行の発表では、国内銀行の2月の債務不履行率は6.19%。
前の月より0.3%上昇したという。
これは1995年9月以来の高い数値で、5ヶ月連続の上昇だったという。
金融機関別で最も不履行率が高かったのは、銀行で6.35%上昇。
次が信用金庫で6.06%だったと発表した。


住宅の契約戸数もさえない。
今年2月の住宅ローン契約数は8.8%のダウンで、これで10ヶ月連続での
マイナスとなった。
統計局の発表によると、2月に行なわれた契約は50,361件。
1月のマイナス8%を若干上回ってしまった。
住宅ローンによる借入金額については、1件につき平均12万2749ユーロ。
こちらは4%の増加を示したという。


一方で住宅価格は下落の一途だ。
同国政府の発表によると、今年に入ってから3月までの住宅価格は、全国平
均で4.7%の下落。
地域別ではマドリッドで8.9%、次がナバラで8.3%、3位はカンタブリア
7%だったと発表している。


こういった状況だから、周辺国からの危機について常に神経を尖らしている。
ギリシャの再編、脱退報道は強ち誇張されたものではない。
3年間で1100億ユーロの支援が決まっても、債権国などが多額のマネーを
引き上げれば、スペインも無事ではいられない。
今年8月と10月には多額の国債償還が待ち受けている。
それぞれ去年7月に償還した160億ユーロを超えるらしい。
ギリシャ問題が一時的に解決したとしても、今度は自分自身の問題がすぐ襲
ってくるからである。


スペインは今回、アイルランド救済措置において26億ユーロを融資した。
ギリシャ救済措置においても100億ユーロをすでに負担している。
ポルトガルに対しても約50億ユーロの支援を約束したばかり。
もはや金庫の中はカラッポ状態だろう。
そして予想通り、ここ数日間ドイツとフランスの短期国債の利回りが急上昇し
ている。
ギリシャのユーロ脱退報道は、普通なら好意的に捉えられてもおかしくないの
だが、一方でユーロの信用はガタ落ちてしまう。
これが欧州にとって最大のジレンマといえるだろう。



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