ユーロ圏危機 ギリシャの再編・デフォルト・脱退は不可避か

5月に入り、欧米経済の危機が深刻化していることから円高のペースが
速まっている。
9日のロンドン市場では、1ユーロ115円台に突入した。
去年、一時107円台まで進んだ相場をうかがう勢いである。
ドルのほうは反対に値が動くことから、やや毛が生えた程度円安になっ
ている。


米国ペテン格付け会社S&Pは同日、ギリシャの債務再編リスクが一段
と高まっているとし、現在の格付けを 「BBマイナス」 から 「B」 に2段階
引き下げた。
いつものことながら欧州危機がクローズアップすると、自国への資金流入
を狙い、米系の会社が格下げしていく。
いつもながら見えすえた行為といえよう。


ギリシャ国債の10年物利回りは4月27日、ついに16%を超えた。
その後は数日間下降したが、週明けの海外市場では再度上昇している。
そして同時にアイルランド国債の利回りも、ギリシャ以上の上昇幅をみせ
ているのだ。
ギリシャのような小国でも、世界中の危機を誘っていくことは間違いない。
ユーロ圏に属していないハンガリーとは話が違ってくるのである。


実際ギリシャでデフォルトが起きた場合、ユーロ圏は悲惨な現実が待って
いるに違いない。
ギリシャ政府が発行してきた国債は3000億ユーロ近くにも達し、この額
リーマン・ブラザーズが債権者に負っていた負債額を圧倒している。
ギリシャ国債の買い手は全体の7〜8割は外国。
だからこの買い手(債権者)に危機が即波及するのである。
言うまでもないが、リーマンは本当に破綻してしまった。


ではギリシャ国債の買い手は誰なのだろう?
結論をいえば、全体の約6割を欧州諸国が握っている。
その半数はユーロ圏の主要国ドイツやフランスだ。
つまり何らかの債務編成が行われると、その被害は欧州全土に拡大する
ことは明らか。
ドイツやフランスの銀行も巨額の評価損を計上するハメになる。


もちろんギリシャ国内の銀行も一定の国債を引き受けている。
当然だ。 自分たちの国の国債なのだから。
しかしこれがまたヒドイ、ヒド過ぎる。
保有している銀行は、自分たち銀行の資本金をすべて合わせた額と同じ
額面を持っているというのだ。
一体全体どう処理していくというのだろう。


すでにPIGS4ヶ国のうち、3ヶ国がEUやIMFから支援を受けている。
今年の欧州諸国は、去年以上の厳しい課題を突きつけられるに違いない。
少々気が早いが、今年後半から来年にかけてはアイルランドポルトガル
の再編問題が浮上してくるだろう。



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