スペイン経済危機 住宅差し押さえと立ち退き件数が最高記録

2010年サッカーW杯の優勝後、スペインは経済だけでなく、社会的に
も不安要因が立て続けに起こっている。


今年5月11日、南東部ロルカで発生したM5.1の地震は、これまでに
300人以上の死傷者を出した。
さらに欧州で腸管出血性大腸菌「O104」の感染が拡大していったこ
とで、ドイツとスウェーデンで計26人の死者が出たという。
いち早くスペイン産のキュウリが問題にされたのだ。


その後しばらくしてドイツ当局者が調査した結果、感染源はスペインの
キュウリではないと発表。
そして今週に入って、原因はドイツのもやしではないかという噂も飛び
交う始末。
これまで欧州12カ国で、約2200人もの被害者が出ているらしい。


食品の風評被害は一品だけに限らず、全食品まで及んでしまうもの。
暑い時期になれば、どこかで中毒問題が徐々に出てくる。
農家で働く人は味や食中毒問題だけでなく、気候や気温といった自然
要因にも気を遣っているので、一度悪い被害が出てしまったら立て直し
は容易ではない。
日本では現在、福島県産の野菜が標的にされている。


思い起こせば日本でも1996年に「O157」でカイワレ大根が問題に
された時、当時の菅直人厚生相がメディアの前でヤマ盛りのカイワレ
を食べるというパフォーマンスをやってのけた。
多くの日本人は別の意味で新鮮さを覚えたものだ。
先日キュウリを栽培しているスペイン農家の人が、安全を宣言する為、
一斉に口にしているところが報道された。
こういうアピール方法は自己防衛手段として、欧米では昔から受け止
められているのだろう。


とにかくスペイン経済の衰退は大変心配である。
ポルトガルだけでなく、欧州全土に波及していくからだ。
同国当局によると、今年第1四半期に不動産の差し押さえや家賃滞納
などで立ち退き命令を受けた家族数は、1万5491件。
これは前年同期比36.3%の上昇だったという。
集計を取り始めて以来の最高記録となったようだ。
世界的危機が起こった08年同時期は5000件程度だったらしい。
今年も間違いなく記録を更新すると予想している。


また住宅売買契約数についても、今年の第1四半期が7万4540件で、
昨年同時期より30.4%も少なかったようだ。
失業率も20%を優に超えているが、25歳以下の若者の失業は45%
にも達している。

スペインには一刻も早く突破口を見つけ出してもらいたいものだ。



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