イタリア経済・財政危機 国債利回りとCDSスプレッドが上昇

イタリア財務省が28日に実施した国債入札は、利回りが全般に上昇。


3年債の利回りは4.80%で、2008年7月以来の高水準。
10年債の利回りは5.77%で、2000年2月以来の高水準。


何といっても時期的に悪いなと感じざるを得ない。
6月も10年物国債の入札が実施されたが、ギリシャ危機が再熱してい
た頃もあって、イタリア国債はまだ信用の域に達していた。
しかし今回は、半月前に突如襲ってきた同国の信用不安後の入札だか
ら、利回りは一気に急上昇してしまったということだ。
また米国のデフォルト危機が高まっている時期も重なった。


今は債権国のフランスなどから、資金の回収が襲ってきている真っ最中
だろう。
銀行株がかなり売られていることから、銀行債権者などからも引き上げ
が続いているものと思われる。
今回は同時に変動金利の7年債も入札が行われたらしい。
何としてでも資金を工面したいという当局の焦りが感じられる。


今回の入札結果により、イタリア債の対ドイツ国債利回りのスプレッドは
19bp拡大し、331bpに達した。
この水準は7月8日前の水準を約110bp上回ったという。
そもそもCDSスプレッドは、欧州の場合、最大の経済大国ドイツを基準
として数値を出すことになっている。
だから今後、もしドイツ経済の信用が墜ちていくとなれば、その基となる
CDSという数字においても信用が失墜していく。


ドイツはGDPの約半分を輸出に頼っている。
よって世界の消費が収縮していくと、欧州域内で最も打撃を受けてしま
うのもドイツ自身だといえる。
ドイツはPIIGS危機が本格化した頃から、どんどん存在感を高めている。
メルケル首相は事実上の欧州大統領といってもいいのではないか。
資金的な援助だけでなく、場合によってはハッキリと “ ノー ” を申し出
ている。
この自信はどこから生まれてくるのだろうか?


ドイツは去年10月、第一次世界大戦後にベルサイユ条約で決まった賠
償費用をやっと返済することができたのである。
ナント92年ぶりに精算できたということだ。
こういったひとつの時代の区切りがついたことで、自信とプライドを深めて
いると思われる。
あくまで筆者個人による私見であるが。。。
ただ歴史的な清算については、日本も含め、なかなか難しいだろう。



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