中国の内需拡大策は、決して簡単にいかない。
最大の理由は、中国がいまだ世界の工場であるということだ。
中国のここ数年の繁栄は、世界中の企業が安い賃金と土地代
を求め、投資してきたことが大きい。
そしてそこで作られた海外のブランド品は、世界中に輸出され
た。
つまり、中国のブランド力が向上したわけではないのだ。
成長を支えてきたものを敢えて言えば、 「株」 と 「不動産」 が
殆どを占めている。
昨今の金融危機で、外需に大きく依存してきた中国の経済が、
他の新興国同様、大変深刻な状況に陥ってしまった。
中国共産党がこの非常事態を打開するために、再度、民間企
業や個人に融資を積極的に行ったのだ。
ところが個人の場合、その融資資金の大部分をまたしても株に
投資したといわれている。
この現状を見て温家宝首相は激怒したという。
中国のモノ作りに関しては、今後も楽観視できない。
なぜなら中国国内の富裕層ほど、メイド・イン・チャイナを買
わないからだ。
ファッション業界を見ても、米国のブランドで「コーチ」とい
う高級皮革製品メーカーがあるが、今ではほとんどが中国産。
レスポートサックなども同様だ。
最近は日本にやってくる中国人が随分増えてきた。
去年は約45万人もの中国人が、観光や買い物にやって来た。
(一方、中国に旅行した日本人観光客は約300万人)
デパートや百貨店、さらに秋葉原といった家電量販店に沢山の
中国人が買い物にやって来るのだが、ひとつの傾向として、
彼らは決して中国で作られた製品は買わない。
買う前には必ず、どこで生産されたかを確認するそうだ。
一方で欧米諸国や日本は、安ければ中国製品でも決して避け
ることはない。
先進国の人は日常生活品であれば、安い中国産を喜んで買う。
いうなればこのことが中国の貿易依存体質をなかなか解消でき
ない大きな理由なのだ。
中国製品が世界に認められる為には、戦後の日本やドイツのよ
うに、自国の技術力を高め、ブランド力を高めていくしかない
のである。
しかしそれは決して生半可な気持ちではできないし、続かない。
毎日歯を食い縛って研究や開発に没頭していくしか方法はない
のだ。
つまり戦後、日本が辿った道そのものである。
★シティアライアンス 代表兼 「ヒルザー・ドットコム」 運営者