★ GCC諸国がドル建て原油取引の中止へ

英国のインディペンデント紙は、アラブ湾岸諸国が原油取引で
の米ドル利用を中止し、通貨バスケット建て取引移行に向け、
ロシア・中国・日本・フランスなどと極秘に協議し始めている
と報じた。
どのような根拠か定かでないが、9年以内に通貨バスケット建
てへの移行実施が提案されているという。


しかしサウジアラビア中央銀行の総裁は当日、アラブ湾岸諸国
が、原油取引における米ドル利用の中止についての新聞報道は
「完全に不正確」であるとすぐに否定した模様だ。
ある意味、米国との関係をすぐには損ねたくはないという気持
ちがあるのだろう。


いよいよ米ドル覇権の陥落が、ここまできたかという思いだ。


ドル安というのはGCC諸国やOPEC諸国にとって、産油国
の石油収入を実質的に減らしてしまい、原油価格がいくら上昇
しても、ドルが暴落すれば意味がないのだ。


すでに通貨バスケット制をとっているクウェートを除いて、
サウジアラビアをはじめとするGCC諸国は、今でも米ドルに
自国通貨を連動させるペッグ制をとっている。
このため米ドルが下落すると、自分たちの通貨もユーロや円
など、ドル以外の通貨に対し下落してしまうので、インフレ
に悩まされているのが実情だ。


去年の資源暴騰による食糧危機時は同時にドル安も進んでいた。
よってGCC諸国は、耐えがたいほどのインフレに苦しんでい
たのだ。
現在世界中の先進国通貨で最も弱い米ドルを軸にしている中東
諸国はたまったものではない。実情は察するに余りある。


過去2年で、ドル建て投資を99%から40%へ減少させたカ
タール投資庁は、運用額のうちユーロ建てを約40%まで上昇
させており、残りの約20%は英国ポンドや円の資産に代えて
いる。


07年に原油のドル決済をユーロや円建てに切り替えたイラン
代表が、各国に追随を呼びかけたのは記憶に新しい。
03年、イラクサダム・フセインが攻撃されたのは、石油を
ユーロ決済に転換したためとの見方は、産油国の間でも知られ
ており、間違いない事実だった。


去年までの米国が 「イラン軍事攻撃」 をちらつかせるだけで、
GCC諸国は米ドルに忠誠を誓わされてきた。
米国は 「イラン」 カードをそそのかせるだけでよい。
世界無二の軍事力を持つ米国だからこそ基軸通貨国の座は守ら
れることを、ワシントンの連中は熟知していた。
(今はどう思っているのかわからない)


しかしドルの時代は間もなく終焉を迎える。
トレンドは 「脱石油」 だ。
末期症状に陥っている米国の借金体質に、追い討ちをかけるよ
うに米国発の金融危機が世界中を襲った。
世界の景気回復に足を引っ張り続ける米国。
9年どころか、3〜4年以内には破綻国家になるのが確実だ。
以前のブログにも書いたが、今後は米国にどうしても投資した
いのなら、留学や旅行などの分野に限った方がいい。



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