アイルランド 地獄の不動産バブル崩壊が進行中(1)

アイルランドは現在、スペインやバルト三国同様、ユーロ圏諸国の
中でも、最も深刻な景気後退に見舞われている。


1990年から07年にかけて、アイルランド経済は年平均6.5%
のペースで成長していた上、05年には世界で最も住みやすい国とし
て挙げられていた。
ところがユーロ導入後は通貨の武器をフルに利用し、世界から莫大な
金が流入していたのだ。
いうまでもなく金融危機後は、その反動が凄まじかった。


アイルランド政権は、独立後88年間の歴史の中で、ほぼ間違いなく
最も厳しい緊縮財政となる状況下で、支持を取りつけなければならな
い難題に直面している。
ドイツやフランスなどが世界的な不況から脱し始めている中で、今年
アイルランド経済は、実質GDP8.4%も縮小する見通しだ。
第1・四半期に記録した大幅な縮小ペースが今後も続くとみられる。


政府は公共サービスの大幅削減、数千人規模の公務員削減、様々な新
税導入を次々と検討しているといわれる。
ついに今年2月、公務員の年金保険料が引き上げされた時には、大規
模なデモが繰り広げられた。
これによって給与手取りが7.5%も減ったという。


失業率は5%からあっという間に10.4%に跳ね上がり、英国よ
りも急激な上昇ぶりを見せている。
アイルランドの銀行は他国銀行のように、バランスシートを蝕んだ
ハイリスクな有価証券は殆ど持っていなかったかもしれないが、
不動産ローンの劣化によって目下壊滅状態にあるのだ。


今年1月の失業者数が32万6千人に増え、1967年に統計を取り
始めて以来、最悪の数字。
外資導入によって欧州有数の成長を遂げた同国経済が、他国同様昨年
9月に景気後退に陥ってしまった。



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