中国人民元レートの切り上げと不動産バブル崩壊

中国人民元は政府(共産党)によって意図的に安値誘導されている。
このことはもはや疑う余地はないとみていい。


経済成長が本格化する80年代までは1ドル2.6元だった。
(案外このことを知らない人が多い)
しかし輸出主導を目的に94年に1ドル10元程度と固定化され
た。事実上大幅な引き下げである。
その後アジア通貨危機をきっかけに8.25元に切り上げられた
のち、ついに05年に6.8元まで引き上げられ、今日までにほ
ぼ固定化されている。


いうまでもなく中国による輸出依存による成長は、その前提にあっ
たのが米国や欧州の資産バブルとドルやユーロ高であった。
このなかでも対米依存度は凄まじいものだった。
06年全輸出に占める対米輸出は約2割。
貿易黒字に占める対米黒字はなんと8割にも達していた。
驚くほどの一国依存だといえよう。


しかしいくら人民元の流出量が増えても、それを運用できるのは、
一部の富裕層に限られていた。
そしてその運用先は株と不動産のみ。
貧しい一般庶民もこういった投資先目当てだけに銀行から借りて
いたが、あっけなく崩壊し、家計の負債だけが残ってしまったと
いう悲惨さだった。


しかし対米依存が強すぎたため、07年の金融危機が引き金とな
り、中国経済に赤信号が灯ってしまった。
それまで不動産価格は年収の10年分から30年分といった天文
額的な数字まで達したが、金融危機後に上海や北京といった大都
市で不動産価格の暴落が起こってしまった。
同時期07年から08年における株価暴落はいうまでもない。
最近は中国の技術が向上したといっているが、その理由はやはり
外資流入によるもの。自国産の技術なんて皆無に等しい。


技術に関して私が一番不安に思うものは、自動車産業だ。
日本や欧米といった先進国が中国国内に工場を設ける場合、必ず、
現地中国メーカーと合弁会社を作らなければならない。

上海VW、上海GM、広州ホンダ、天津トヨタetc. . . といった
名前ばかりに気がつく人も多いだろう。
つまりそのうち先進国の技術が吸い取られることを意味する。
最近は韓国の双龍自動車と上海自動車のトラブルがいい例だ。
韓国メーカーはカンカンになっている。
そしてこのブログを書いている途中に、東芝半導体事業で中国
メーカーと合弁会社を作ることになったというニュースが届いた。


中国は数字の大きさだけで世界に対しアピールする必要がある。
そのためにはGDPの粉飾も必要不可欠である。
バブルに踊った負け組達はそのまま貧困層に転落したが、富裕層
も例外ではない。莫大な金を投資(というより投機)し、金融危機
後は莫大な負債が残ってしまった。
このことを解消するためには再度のバブルが必要である。
それがここ半年間の株と不動産バブル再来につながっているのだ。



 ★シティアライアンス 代表兼 「ヒルザー・ドットコム」 運営者