中国の不動産バブル崩壊 今年後半は欧米の危機で深刻化する

中国では09年春頃から不動産バブルが再燃しており、同年末に
頂点に達している。
例を出せば、深センの場合は09年を通して不動産価格は80%
も上昇したという。
去年12月には市内の分譲マンションの平均価格が、なんと
1平方あたり約33万円となり、前年同期と比べると103%増
になったという。
北京や上海といった主要都市でも同じような現象が起きている。


いうまでもなく、不動産価格暴騰の最大の原因は、中国政府の
実施した 「緊急景気対策」 にある。
08年秋からの世界同時不況の中で、中国の輸出産業は大きな
ダメージを受けた。それは今でも続いている。
それまで毎年25%以上の伸び率を記録してきた輸出は、09年
の前半にマイナス20%以下に急落し、輸出向け産業を中心に、
全国の中小企業の約4割が潰れてしまったのだ。


こういった緊急事態の中、中国政府は08年末になると思いきっ
て「4兆元(約57兆円)景気対策」 を打ち出し、09年初頭からは
積極的な金融緩和政策を実施してきたのだ。
貸し出し額も急激に増えた。
同年上半期だけで、国内での新規融資の総額は約105兆円にも
達した。
09年度上半期の新規融資は、前年同期比では実に196%増と
なってしまったのだ。まさに史上最大の放漫融資である。
今は膨張した不動産バブルが中国経済にとっての爆弾となった。


中国不動産バブルは、かつての日本と似ているという人が多いが、
中身の事情はやや異なる。
日本が経験した80年代の不動産バブル時は、世界に冠たる
技術立国に台頭していたのだが、中国はといえば、現在も日
本のような高度な成長技術を持っていない。
台頭しているのは株と不動産だけなのである。

つまりバブルが実際に崩壊したら、何も残らないということだ。
皮肉な言い方をすれば、国民の借金だけが残るということである。


去年の12月、米国のフォーブス誌が 「バブル直前状態の7業界」 を
発表したが、その中で 「中国の不動産」 が2位にランクインした。
余談であるが、一応順位を載せておく。


 1位 「金」
 2位 「中国の不動産市場」
 3位 「新興市場
 4位 「米国債
 5位 「大学の学費」
 6位 「上場投資信託
 7位 「銅」


そしてついに去年末、バブル崩壊の兆しがあらわれてしまった。
09年の経済成長率を持ち直したという中国政府の 「景気対策」 は、
今年そのツケが一気に回ってくるだろう。
これから、安価な中国製品を購入してきた欧米諸国の危機が、
一層顕著になってくるのだ。
これはいうまでもなく、中国にとってバブル崩壊と株価の下落、
そして輸出の急減が待ち構えているということに他ならない。


最近では米国投資家が、
“中国の不動産バブルは、ドバイよりも千倍も危険だ”との警告を発
して注目を集めた。
バブル崩壊中国経済への破壊力も、本当に 「ドバイの千倍」 とな
るのだろうか。非常に楽しみであり、恐ろしくも感じる。



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