百貨店のリストラ・早期退職勧奨 不景気でも希望が殺到する理由

売り上げが最も深刻化している百貨店業界が、リストラ策を強めて
いる。
大阪に本社をもつ大証1部上場の近鉄百貨店は、2月末まで募集し
ていた希望退職に、ナント予想されていた400人を大幅に上回る
708人もの応募があり、早くも15日で募集を打ち切ったと発表。
応募者は全社員の約2割にあたるが、今回応募した全員の退職を認
める方針だという。
会社側は 「これ以上希望退職が増えると業務に支障が出るため」 と、
早めに切り上げた理由を説明している。


2月1日から開始した募集層は、35歳以上59歳未満の正社員が
対象で、退職日付けは3月31日付。
本来の退職金に年齢などに応じた加算金を上乗せするものだ。
生じる特別損失は現在精査中としている。


世界的な消費不況の中、09年の全国百貨店売上高は前年比10%
以上も落ち込むなど、百貨店各社の経営環境は厳しさを増している。
09年11月には、三越で全社員の23%にあたる約1600人が
希望退職に応募した。
今月には松屋もグループ全従業員の2割弱にあたる225人が応募。
今後もますます厳しさは増していくだろう。


しかしこの大不況下、なぜ希望する退職者が殺到するのか?
給料が伸びず、残業代もカット、そしてボーナスもカットされる中、
これまで通りの同じ勤務環境では、なかなか納得しない社員が増え
ていることも事実。
そういった意味では毎日の仕事に疲れきっていることもあるだろう。
日々の人間関係も大きく関わっている。


さらに正社員の多くは年齢的に考えても、住宅ローンや自動車ローン
を抱えている人が多いと思える。
今回の早期退職勧奨は、通常の退職時や自己都合と比べて、
余分にもらえることから、こういったローンを一括返済できる
というメリットがある。
 

精神的にも肉体的にも楽になれるからだろう。


とにかくコンビニの売り上げがそれほど落ちていない中、贅沢品の
購入には財布の紐がかたくなるのは当然のこと。
金融危機後は世界的に、贅沢品が売れなくなってしまった。
高級品は別になくても死にはしないし、困らない。
このことは企業についても似たようなものだ。
高度な日本製品が売れなくなり、世界中が一段レベルの低い製品を
購入するようになったことが、日本経済の落ち込みを更に悪化させ
た要因なのである。 残念だが、ある意味で納得できる。
当分の間は 「欲しいもの」 より 「必要なもの」 にお金を使うと
いう傾向が続くだろう。



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