ユーロ圏の景気後退は正念場 PIIGSのCDSが急上昇中

ギリシャやスペイン、ポルトガルアイルランドの債務返済への
懸念から、最近では別の大きな不安に移りつつあるという。
どうやら欧州諸国の一部は、時に秘密裏に複雑な金融商品取引に
手を染めて、債務や財政赤字の実態を意図的に隠しているのでは
ないかという不安要素だ。


その最たるものがデリバティブ取引であろう。
ユーロ圏各国の政府は、デリバティブ契約について全容を明らか
にすることは、とくに義務付けられておらず、個人や機関投資家
が、潜在的なリスクを把握するのはほぼ不可能にあった。
情報開示が十分にされていないうえ、故意に隠していたというも
のに他ならない。


関係筋によれば、ゴールドマンサックスは98〜01年にかけて
ギリシャとの間で12件ものスワップ取引を締結していたようだ。
そしてクレディ・スイスも同じ期間に、ギリシャスワップ契約
を取り交わしたという。
さらにドイツ銀行も、98〜03年にポルトガル政府の代行で、
為替スワップを執行していたことを明らかにした。
ちょうどこのころは、どこかの国とは対照的に、欧州経済が力強
く上昇していたころだ。


欧州の銀行貸出債権は、多くが企業や不動産向けであり、
その額はなんと、米国の5倍近い額だという。
つまり企業の破綻は、銀行の財務を一気に収縮させるも
のである。
 

商業用不動産ローンの焦げ付きは、欧州も例外ではない。
とにかくドイツは金融危機前、レバレッジ(梃子)を世界中で最も
高く設定し、金融取引を行っていたのだ。


一番の問題は、欧州全体のの債務・財政赤字基準を満たすため、
デリバティブを使って財政収支や債務を人為的に操作できていた
ことである。
ギリシャのデフォルト懸念が世界中の金融市場を動揺させるまで、
こうした不透明なデリバティブ取引に全く無関心だったことだ。


ゴールドマンサックスと為替スワップを結んでいた、当時のギリ
シャ首相補佐官は、
財務省の小ざかしい馬鹿者が債務水準をごまかそうとして行っ
たものだ」 と今更ながら指摘している。
スワップ取引はやるべきではなかった. . と反省しているようだ。
しかしこれも後の祭り。


とにかくここ半年間ほど、PIIGSと皮肉られている欧州諸国
CDSスプレッドが急上昇している。
さらに代表国のドイツやフランスのCDSも少しばかり上昇して
いるのだ。
比較的安定しているのはオランダくらいなものである。
しかし忘れてはいけない。オランダも立派なユーロ通貨国である。
火種はすぐそこまでやって来ている。



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