イギリス経済危機 経済指標の悪化でポンド危機 バブル崩壊は深刻

PIIGSと皮肉られているユーロ通貨圏の経済危機と同じく、
かつての覇権国イギリス(英国)の経済も同様に深刻だ。
深刻の度合いは、すでにリーマンショック前から顕著に表れていた
が、今年の2010年は最大の試練を迎えるだろう。


スペインやアイルランドとともに、不動産バブルが最も激しかった
イギリスであったが、去年は住宅承認件数も回復基調にあったが、
今年に入って、ついに息切れとなったようだ。
1月の住宅ローン承認件数は市場予想以上に落ち込み、8カ月ぶり
の低い水準となった模様。
ここにきて住宅市場の勢いが失われつつある兆候が強まった。


さらに2月下旬から通貨ポンドの下落が目立ってきた。
つい2週間前までは、1ポンド140円台で安定推移していたが、
3月1日には134円台まで急落しており、この日のロンドン市場
は132円台に突入した。
このブログを書いている現在も徐々に下落している。
この半月間で10円以上も下落したことになる。
そして対ユーロでも数カ月ぶりの安値になったのだ。


さらに米国債の最新保有情報でも、中国を上回ったといわれた日本
保有額が、実は依然中国が1位であることが判明したことに隠れ、
イギリスが09年6月に大量の米国債を売却していたことが
わかったのだ。
その売却額は約1200億ドル。 
同様に08年6月にもほぼ全額を売却していたことは、当ブログで
何度か掲載した通り。
しかしその後はいつも通り、再度の買い増しをしている。


金融危機後の急激な経済成長の落ち込みの反動もあって、日本や
米国、BRICs諸国の成長率は、改善の兆しをみせている。
しかしその一方でイギリスは全く回復の兆しをみせていないのだ。
イギリスは米国と同様に、金融立国を目指して、工業の衰退から
金融業などで、為替や他のインチキ金融取引を繰り返していた。
その悪化ぶりは、基軸通貨国の米国よりも激しい。


60年代にビートルズが、全曲の9割も生んだといわれるロンドン
にある音楽スタジオ 「アビー・ロード・スタジオ」 の売却まで真剣
に考えなければならないほどの惨状ぶりなのだ。
その後、現在まで所有するEMIは結局売却案を撤回した。


目下のところ英国債(ギルト)の格下げは起こっていない。
これは米国債やスペイン国債など、他の国債に波及することを懸念
しているからだと思われる。
実体経済より、政治的な思惑のほうが大きく働いている。
しかし国債の増発は、米国もイギリスも全く同じ。
今年に入ってイギリスは、記録的な国債発行を行っている。
その額は30兆円近くにも達しているという。


ついに今年5月にはドバイワールドの返済問題が再熱する。
イギリスの大手金融機関が多額の貸付を行ってきた不動産融資だ。
今月3月には一定のポンド下落が続くだろう。
しかし4月にはいったん落ち着きを取り戻すだろうが、5月には
更なる下落が待ち構えているだろう。
とうとうイギリス経済が生き残る道は狭まってきた。
同国は金(ゴールド)を多く保有しているが、今後は金価格が頂点
に達した頃を見計らって、少しずつ売却に奔走するだろう。
イギリス国家の運命は早くも来年にはやって来るかもしれない。


 ★シティアライアンス 代表兼 「ヒルザー・ドットコム」 運営者