中国の失業者数 不動産バブル崩壊と貧困者数の増加で4億人か?

中国の温家宝首相が公開の場で、「中国の失業者は2億人」 と発言
したことが中国国内で波紋を広げている。
08年末の公式統計では4・2%だったが、温首相の発言通りなら
実際は10%をはるかに上回ることになる。


中国で公表されている失業率は、実際には都市部の登録者のみで、
人口の6割を占める8億人の農村住民の就業状況は含まれておらず、
実態を全く反映していないとの批判が以前からあった。


中国共産党政府にとって、正確な失業者数はタブーに近い問題。
失業者の増大が社会不満を生み、共産党体制批判に向かうことを恐
れている節があり、無駄な公共事業などで雇用の創出を行い、なん
とかカモフラージュさせてきた。
そのため意図的に失業率の数字を低く抑えるよう、情報操作してい
たということを認めたに等しい。


中国経済は早ければ今年後半には深刻な影響を受けるだろう。
すでに09年後半からジワジワと不動産バブルの崩壊が始まってい
る。
09年3月頃から、いくつかの指標に明るい兆しが戻った、、、と
いう報道がされているが、それはあくまでも “小さな指標” に過ぎ
ないのだ。
好景気の時に、欧米や日本への輸出に大きく依存してしまった原因
が、そもそも国内の消費市場に未熟があったことが何よりの原因。
いまさらどこに莫大な消費をしてくれる市場があるというのか?


一昨年から、4兆元もの財政出動景気対策を行うということで、
中国経済の底力を匂わせる報道が日本でも相次いでいる。
しかしそれは固定資産投資の拡大、つまり道路や橋といった建物を
作るというものに過ぎない。
これはある意味日本でも同じであるが、公共投資の拡大はすぐに
GDPに反映される。
しかし誰も使わない建物が残り、結果的には不良債権化するだけで
ある。つまり問題を一層深刻化させるだけだ。


実は中国は 「固定資産税」 がない。
このことが、株と同様に不動産価格のつり上げに貢献したといって
も過言ではない。
バブル崩壊はかつての日本や今の欧米以上に深刻化するだろう。


とにもかくにも消費市場の一番の担い手は、中間層である。 
貧困層はこれまで通り、最低限の生活必需品しか手が出せない。
富裕層は今後、所得ほどは消費しない。手を出すのは決まって株と
不動産ばかりである。
国内で製造されたメイド・イン・チャイナなんて買わない。
私が何度もブログで紹介した通りだ。


今回中国要人における失業者数2億人発言であるが、人民元の切り
上げ圧力が高まる中、苦し紛れの策だったに違いない。
しかし実際には農村部だけでなく、都会にも多数の失業者が存在し
ているから、実態は軽く4億人はいるもとの考えていい。
自国の名誉を考えて、都市部の失業率は全く含めていない発言だ。


海外企業の撤退についても激しい。グーグルだけではない。
好景気の時から韓国や台湾企業の夜逃げが増加しているのだ。
リーマンショック後の08年10月には、広東省の玩具工場などが
2年以内に1800社も倒産するだろうというニュースが流れた。
90%以上が欧米向けだという。
こういった現状が続いている広東省のトップが、去年11月に来日
を果たし、日本企業の誘致を求めてきた。
この時点で、一体どこが好景気といえるのだろうか???
農村部でない地方都市でも雇用環境は悪化している状態だ。


さて今回の報道ではあるが、やはり日本では産経新聞だけだ。
その他の大手新聞社は記事を出していない。
こういった政治的談合も、日本国民に対し誤解させる情報を長年お
茶の間に流してきたのだ。
私がかねてから、経済よりメディアの改革が必要だ! という意味が
お分かりいただけると思う。



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