タイ反政府デモ 経済・金融危機の中、特徴的な観光業も大損失(1)

ASEANの一角を占めるタイも、米国発金融危機の影響が大きな
うねりで襲った。
金融機関の不良債権比率は3%程度に低下しており、欧米諸国とい
った先進国で起こった金融不安はほとんど生じていないのだが、
外資に頼っていた経済構造から、急速なリストラとその悪循環から
起きた消費不況から、雇用不安が拡大したのだ。


これに伴い2つのリスクが生じた。
1つ目が欧米の金融機関やヘッジファンドが、タイから巨額の投資
マネーを引き揚げてしまい、それに伴って自国通貨バーツが急落し
たということである。
08年で15%以上も下落したのである。


2つ目は輸出が大きく落ち込んだこと。
タイはアジア諸国でも経済に占める輸出の割合が大きい。
その割合は75%にも上る。
これはシンガポール、マレーシア、香港に次ぐ輸出依存国といって
いいのだ。
外需の落ち込みで、タイ経済は金融以外の面でダメージを被った。


代表的な自動車で見ていくと、09年の国内自動車販売台数は、
10.8%減の54万8千台余りとなった。
しかしこの程度の悪化ならどこの国でも同じことだが、自動車生産
台数でみれば、前年比28.3%減にまで落ち込んだのだ。
97年のアジア通貨危機後、一貫して生産台数を伸ばしてきたが、
世界金融危機による世界的な景気後退を受け、前年比マイナスと
なってしまった。


結果的に09年のGDP成長率はマイナス2.3%。
しかしタイ政府は10年の成長率見通しを3.5〜4.5%とし、
先行きにも一定の自信を強めている。
こういった中、今年の3月12日には、豪州とニュージーランド
の間でFTA(自由貿易協定)を発効するまでに至った。



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