ウクライナ経済危機 主要輸出品 「鉄鋼」 の復活なるか?

米国発金融危機はロシアだけでなく、旧ソビエト連邦を構成してい
た国にも深刻な影響を落とした。
代表的な東欧諸国の中では、ベラルーシウクライナだろう。
今回はウクライナを中心にみてみよう。


金融危機前、ウクライナは輸出の拡大によって外貨準備を積み上げ
てきたが、経常収支の急激な悪化によって、外貨の蓄積が困難に
なっていった。
実はウクライナの主要輸出品は 「鉄鋼」。
全輸出品の4割を占めていた。
 

リーマンショック前までは、鉄鋼の国際価格が高騰したことが功を
奏して、高い経済成長を実現した。


ところがリーマンショック後は状況が一変。
欧米諸国のマネー流出と実体経済悪化で、需要が大幅に縮小した。
さらに鉄鋼価格の急激な下落で輸出金額も減少。
石油の効率性も悪く、日本のような高度な技術も持ち合わせていな
いこともあり、まさに泣きっ面に蜂を味わった。


当然のことではあるが、その後は同国通貨グリブナがほぼ垂直とい
っていいほど急降下した。
08年9月から10月までのわずか2か月間で一気に40%も下落。
ウクライナも例外ではなく、個人では米ドル建てで住宅ローンを組
んでいた。
そのためドル建てのローン返済が大きくのしかかり、金利も上昇。
他の東欧諸国同様、ニッチもサッチもいかなくなってしまった。


ウクライナ中央銀行も他国と同じく為替介入を行ったが、介入に
必要な外貨準備が目減りしてしまい、通貨政策維持に支障をきたし
てしまった。
このためウクライナ政府は、アイスランドと同時期の08年10月に
IMFに支援を要請。
2年間に渡って総額165億ドル以上の緊急融資を求めた。


とにかく供給過剰となった鉄鋼業界が大幅に減産を余儀なくされた
ため、実体経済は今も悪化したままである。
いうまでもなく、労働者の雇用と所得環境が悪化したままで、今後
も失業者が増加していくものとみられる。
金融機関の企業への融資も慎重なままであることから、倒産件数は
今年になっても収まることはないだろう。



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